天使のみつ 3rd

心のまま5 K ページ39

「俺の乗りたいのばかり乗っててごめん

藤ヶ谷はどれに乗りたい？

それとも
近くで海見れるとこ行く？」


「ちょっとお腹空いたかな
北山は？」


「お、いいね、なんか食おう」


俺と藤ヶ谷だし、人目もあるから近くにあるホテルのレストランでも連れてくかと考えれば簡単で良いよと藤ヶ谷が言うので、ホットドッグとコーラを買って、海の見える階段に腰掛けた


「こんなの学生時代以来かも」

「俺も！新鮮だな」


海の匂いと欄干の下で波が打ち寄せる音



藤ヶ谷とこの時間、こうしていることが本当に不思議だ







大きな観覧車のデジタルの時計が指してるのは22時30分


もうすぐこの時間も終わる


藤ヶ谷がしあわせになること、見つけられるのだろうか


天使の俺はなぜタイムリミットの前にさよならしたんだろう

会いたくてたまらなかったはずなのに

小さいとはいえ、俺のすることだ

そこにはきっと意味があるはずだ


「なあ、あと少しだから藤ヶ谷の楽しいこと、ちゃんと考えろよ

もしかしたら記憶が消えずに済むかもしれないだろ？」



「…好きなことしてるよ、俺

久しぶりにこんな風に遊んで楽しいんだ

北山は？」


「そりゃ、おれは…楽しいけどさ…」



さっき、お化け屋敷で驚いて藤ヶ谷にしがみついた時、

天使の時の俺が、いつも藤ヶ谷の調子を確認するために胸に顔をくっ付けていたあの時のように、藤ヶ谷の気持ちが流れ込んできた気がした



確かに今日、藤ヶ谷は本当に楽しそうだ




でもこのままで天使のみつの目的は達成出来るのだろうか





あの本にはしあわせとは心の望むまま生きることだと書いてあった


藤ヶ谷の心が望むこと、それはどんなことなんだろう


それが達成した時、天使なら分かると図書館のお姉さんは言ったけど、まだその兆しは見えない

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