天使のみつ 3rd

心のまま4 F ページ38

それはなかなかのスリルだった



どんどん歩いていく北山の後に着いて行くかたちになって、進路を進む


途中、お化けが現れるたびにびくっと身体を震わせ、うお、だの、わ、だの控えめに声を上げる北山

どうしても前を歩く北山の方がお化けとの遭遇率は高く、

流石にここでは恥ずかしくて声を出せないからそれはありがたかったのだが、

そろそろ終わりかと油断した頃、後ろからいちばんヤバそうなやつが後続の俺の肩を叩いて来たので、思わず「うわーっ！！」と叫んでしまった



俺の声に驚いた北山もわーっとかなりの声をあげて、2人で暗がりをがむしゃらに走って逃げると、出口なのか、細く光が見えて来た



やっと出られると思ったところで、最後の脇道から、もう1人飛び出して来た



「うわっ！」



2人のお化けに挟まれて、思わず北山と抱き合ってしまい、はっと顔を合わせた後、お化けを掻き分け、ドアを飛び出した



はあはあと荒い息を整えて、ふと我に返ると、ふたり、顔を見合わせて笑った




「けっこうヤバかったね」

「ヤバかった！
何最後のあれ
すげーメイクのラスボス」

「今思い返せば別に怖くないんだけどね
あー、おもしろかった」

「な！」



ふと、我に帰ると、結びついたままの手に2人同時に気付く
　


「あ、ご、ごめん」



さっきまでは手首を握っていただけだったのに、気付けばしっかりと手のひらを合わせて握られていた手


「あ、えっと俺も…」



言いながら離されそうになった手を、瞬間、きゅっと握ってしまったことに、北山が気付かなければいい


慌てて離したが、さっきまでの高揚感も手伝って、胸のどきどきは治る気配がなかった

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