天使のみつ 3rd

心のまま2 F ページ36

終わったよ、とメッセージを入れれば、ぴょこん、と音がしてすぐにスタンプが送られて来た

昨日とはまた違う了解スタンプ


北山って意外とこう言う可愛いの使うやつなんだ


これを選んで送っている北山の姿を想像して、やっぱりかわいいと思いながら、共演者たちに挨拶を終えて駐車場に向かうと、すでにもう見慣れた車が停まっていた


窓をノックすると、ロックが外れて、助手席に促された


「おつかれさま」

「お疲れさま」

シートベルトを着けると、「今日は藤ヶ谷の好きなところ行こうぜ」と楽しそうに言った


「え？」


驚いて聞き返せば、今日図書館で起こった出来事を北山が話してくれた

『今日一日可能性があるから、
心に従って、楽しく過ごすこと』

それが図書館で聞いた最後のアドバイスだそうだ



「藤ヶ谷がやりたかったこと、やってみようぜ

一緒にいるのが俺で悪いけどさぁ」


おどけて言う北山に

「そんなことないよ」

と返す

　
本当に、そんなことないんだ

だって俺は、北山とこそ一緒にいたかったんだから


もしもこの記憶がなくなったとしても、ずっと抱えて来た北山に対する気持ちはきっと変わらないんだろうなと思う


それなら、たとえ忘れてしまったとしてもこの後の時間を思い切り楽しんだ方がいい

どうせ消えてしまう記憶なら、いつも出来ないことがしたい

日付が変わるまであと６時間
思う存分北山に甘えてみよう


「どこか行きたいとこある？」

「海の見える遊園地」

「え？！」


それほんとに俺と一緒で良いのかよ、と笑いながらも北山は慣れた感じで車を走らせた

ナビも使わないところを見ると、行き慣れてるんだな、と余計なことまで考える




「たまにはぱーっと遊ぶか」


いたずらそうに笑う北山が、やっぱり好きだなと思った

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