天使のみつ 3rd

心のまま1 K ページ35

「見つかったのですね、良かったです」


「はい
お騒がせしました
ありがとうございました」



翌日は朝から図書館に足を運んだ


メガネケースと本が見つかったと言うことを伝えたかったのと、何かしらのヒントが欲しかったから



「ただ、ぎりぎりまで手元に置いておきたいのですが

何時頃まで大丈夫でしょうか」



「…期限は今日中です

閉館時間は17時

まだ可能性はございます」


何も言ってないのに、目的が達成されていないことを知っているようだ


「あの…達成できなかった場合、記憶はどうやって消えるんですか？」


前に聞いた時は、目的を達成できること前提だったが、流石にあと一日しかないので、逆の可能性についても聞いてみる


「天使に纏わる部分だけが全て消去され、うまく繋ぎ合わせられます

日常生活に支障は絶対にありませんのでご安心ください」



「出来れば消してしまいたくないんです
何かアドバイスいただくことは出来ませんか？」



「本にも記載があったと思いますが、お相手の方とお客様自身のお心に従って、残り1日を楽しくお過ごしください

私から言えるのはこれだけです」


「……やってみます

ありがとうございました」


どうしたらいいかなんて分からないが、とにかく意識してやってみるしかない


後ろ髪は引かれるものの、そのまま帰ろうとすれば、


「あ、お客様」

お姉さんに呼び止められた



「書籍は紛失されたと報告してあります」


「はい？」


「本来、本日の閉館までが期限となっていますが、何かのご参考になると思います

今日いっぱいお使いください

…ご来館をお待ちしています」


「……！

あの…ありがたいのですが、お姉さんが咎められたりはしませんか？」


「大丈夫です
その代わり、2〜3日を目処に、必ずご返却をお願いします」



「…ありがとうございます！」



最後の一日

手元に置いておけるのはありがたい


愛想のないこのお姉さんの、実は温かい優しさをありがたく受け取り、図書館を出た

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