天使のみつ 3rd

答え合わせ5 K ページ27

天使が藤ヶ谷のところに居られる期限はあと3日

そのことを伝えると、藤ヶ谷はみつ、と呟いた


藤ヶ谷のところにいる天使はみつと言う名前なのだと分かり、

俺たちの記憶が共通のものだということが決定的になった




この先俺がいつ天使になれる のかはわからない

みつは、ちゃんと意思を持って行動していて俺の自由にはならない


そんなところは俺そのものだなと苦笑いする



「あのさ…
俺、ここから三日間スケジュールに余裕あるんだ

仕事終わったら電話する

多分、本もあと少しで大体のところは読み終わると思うから、何かわかれば毎日伝えに来る

藤ヶ谷さえ良ければ」


「北山…」

憔悴しているように見える藤ヶ谷を見れば、胸がきゅうと縮む気がする

みつとの記憶を忘れたく無いと思ってくれている藤ヶ谷


俺だって、みつとして過ごした優しい藤ヶ谷の想い出を失いたくはない


「それなら３日間北山に毎日会いに行っていい？

直接話聞きたい」



「…分かった、いいよ

でも藤ヶ谷忙しいだろ？


俺が、藤ヶ谷に会いに行くよ

終わったら、連絡して」



「…ごめん」


「気にすんな

きっとなんとかなるよ」



明日も早い藤ヶ谷を、それからタクシーで送り届け、家に帰った俺は、バッグの底から大切にしまった本を取り出した


いつ触っても、不思議な手触りの本


ふわふわしていて、例えるならまるで、天使の羽みたいだ


やっと手元に戻って来た、久しぶりのその感触を味わいながら、眼鏡のスイッチを押した

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