天使のみつ 3rd

答え合わせ4 F ページ26

「藤ヶ谷にとってその天使はどんな存在だったの？」


「……

言いようがないんだ……


でも、可愛かったんだ
みつのことこそ幸せにしたかった」


相手は見ず知らずの子どもだと言うのに

まるで家族のような、不思議な身内感があった



「幸せってなんだよ…

漠然としすぎてるだろ」


「ん…そうだよな…

その本を読んで…

俺も、幸せってなんだろって考える機会が多くなった

それで藤ヶ谷の幸せってなんだろうって聞いたんだ」


「…俺も天使が現れてから考えてたよ、ずっと

でも…わかんないんだ


28日間経ったら天使はどうなるんだろう？」



「…わからない

でも、ひとつだけわかっていることは、

天使に纏わる俺たちの記憶が消えるってことだけ」

「え！？」

「多分、俺たちが天使について、見たり聞いたりして来たことや、その周辺の記憶がなかったことになる」


「…うそだろ…どうやって…」

それなら、北山とこうして少し近づけた事や話している時間の記憶も失う…？

俺はまた…
あの頃の頑なな俺に戻ってしまうのだろうか


忘れない？とみつは聞いた

あれはこの事だったのか



「それ、解決策ある？」

「わからない…

藤ヶ谷が幸せになることがいちばんの解決策なんだと思う」




俺が、北山の後にこの本を借りたところで間に合わないという事だ


この後3日間、このままでは北山に会える確率はかなり低い


「どうしよう…」


途方に暮れて、北山の顔を見つめることしか出来なかった

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