天使のみつ 3rd

選択5 K ページ15

玉がスタッフのところへ行ったちょうどその時、藤ヶ谷が現場入りした



「あ…藤ヶ谷っ！おはよう！」


お礼を言わなければ、と急いで駆け寄った
あれから初めて顔を見る藤ヶ谷


今まで感じていたような、藤ヶ谷を纏う固いオーラはなくなっているので、安心して笑いかける


するとふと目を逸らす藤ヶ谷 が、ほんの少しだけ恥ずかしそうに見えて、可愛いなと思う


あんなに優しい自分を見せてしまった後だし、照れくさいのだろうか

それは天使の時の俺が見ているのとは、また違う表情だった



「あれから初めて会うな！
ほんとにありがとう」


「ああ…いや…」


「藤ヶ谷、すげー気が利くのな
本当に助かった
いろいろ買ってもらったのとかもちゃんと返すから請求してな」

「いいよ、お見舞い代わりにそのま受け取って」


「…んー…でもあんなに迷惑かけたのに…

あ！そしたら今度お礼する！」


我ながらすごく良いことを考えた

そうすれば少しでも藤ヶ谷と一緒に過ごす時間が出来る





「迷惑だなんて思ってないよ…

元気になったのならそれでいいから」


「…ありがとう」

優しい藤ヶ谷の言葉に心が溶けていく

するとその時玉が俺を呼びに来た

「ミツ、ちょっと、一緒にチェックして欲しいんだけど…

あ、ガヤ、おはよう」


「あ、ごめんな、また連絡する」

藤ヶ谷に言って、現場に向かう



「ごめん、ガヤと話してたのに」

「あ、ううん
あれから初めて会うから
この間のお礼してたんだ

……なあ、玉
今日ってさ、仕事終わったら時間ある？」

「あるよ、どうしたの？」

「この間のお礼に、ご飯ご馳走させて欲しい

…それと、話したい事あって」


「うん、わかった
いいよ」


ふんわりと、微笑む玉に、ぎこちなく笑顔のようなものを返し、


スタッフさんとのやり取りを聞いたりしながら、玉と並んで歩く

途中、ドラマの現場に行かなければならない藤ヶ谷とはその後話はできなかった

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