天使のみつ 3rd

選択1 F ページ11

次の日は久しぶりにメンバーと一緒の現場だった

夜はまたドラマの撮影で俺だけ途中退出の予定だ

相変わらずバタバタだが、昨夜みつと一緒に過ごしてぐっすり眠ったお陰で身体の疲れはだいぶ楽になっていた


移動車を降りると、すでに現場には数人のメンバーが待機していた




「あ、藤ヶ谷っ！おはよう！」





すると、遠くから北山が俺を見付けてやって来た


久しぶりに会った北山は、俺を見るとぱあっと顔を明るくして、いつに無く親しげに笑いかける


その顔があまりにも幼く可愛く見えて、あの日の弱った北山を思い出してどきどきしてしまった


気怠そうな、何かを訴えるような潤んだ瞳と、汗ばんだ身体の北山はいつもよりも色気が半端なかった

その事を思い出した瞬間、顔が赤くなっていないことを願いながら目を逸らす





「あれから初めて会うな！
ほんとにありがとう」

「ああ…いや…」


ほんの少し背伸びして顔を覗き込むのを、冷静に見られないからどうかやめてほしいと思うが、北山はお構いなしだ


「藤ヶ谷、すげー気が利くのな
本当に助かった
いろいろ買ってもらったのとかもちゃんと返すから請求してな」

「いいよ、お見舞い代わりにそのま受け取って」

「…んー…でもあんなに迷惑かけたのに…

あ！そしたら今度お礼する！」


「迷惑だなんて思わなかったよ…

元気になったのならそれでいいから」


ありがとうとまたにっこり微笑む北山は本当に可愛い


昔はこんなだったんだろうか

この方がよほど楽しいじゃないか

距離を作ってしまっていたことに、心から後悔が湧き上がる

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