みんな元気になりますように 2

天使の夏祭り3 ページ9

メインの通りに着くと、商店街の道の両脇から伸びる、たくさんの笹飾りを掻き分けるようにして歩く


「わー、たいしゅけ！
かじゃりいっぱいらね」


みつからしたら空高くにある笹飾り


だっこして近付けてやると、届くのが嬉しいらしく、わあ、と手で飾りを触ったりしている

青い空に、赤や黄色の笹飾りのコントラストが本当にきれいで、みつと一緒にいるせいか、いつも以上にワクワクする






歩きながらたくさんの出店に興味津々だったみつが、ふいに足を止めたのは金魚掬いだった


「おかしゃな」

生き物が好きなみつは、小さな赤い金魚がたくさん泳いだ浅い水槽から離れなくなってしまったので、その背中を後ろから抱く


「かあいいね」

「かわいいね、みつもやってみる？」と聞く


水槽に張り付いたみつに、お兄さんからもらったポイとお椀を渡して自分もやって見せる

「あ、たいしゅけ、しゅごい！
おしゃかな取れたよ！」

「こうやってやるんだよ」

マネをしてやってみるけれどなかなかうまくいかなくて、とうとう紙が破れてしまった

「あー」

「残念だったね、でも、俺が取ったの連れて帰れるからね」

「たいしゅけ、お家連れてくの？」

「連れてって良いって」




喜ぶかと思いきや、お兄さんが小さい袋に入れて渡してくれた真っ赤な金魚をみつは受け取らない


「どうしたの？」

「たいしゅけ、あのね、1人じゃ寂しいって

お友達と一緒がいいって」


「みつ…」



「らから、さよならしゅる」



「…そっか」




こどもはきっと欲しがるものだろうと考えた、大人のエゴが恥ずかしくなってしまうほど、みつの心はきれいだ


お兄さんに丁寧にお礼を言って、その場を離れると、

「たいしゅけ、たのちかったね
おしゃかな、かわいかったね」

と、俺を見上げて微笑んだ

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