みんな元気になりますように 2

天使の夏祭り5 ページ11

大きな神社がお祭りの終点だった


お辞儀をして鳥居をくぐると、
みつもマネをしてぴょこんと頭を下げる


お参りをすると、賽銭箱の脇に短冊がたくさん乗ったテーブルと、椅子が置いてあるのに気付いた

みんな各々願い事を書いて、笹に結びつけていた

願い事はちゃんとお炊き上げしてもらえるらしい


こえなに、と聞いて来るみつに、織姫様にお願い事をするんだよと伝える
　

「こえやりたい」

「うん、一緒にやろう」



何枚でも良いと書いてあるので、色取り取りの短冊を何枚か
と、ペンをみつに渡して、書かせてみる


七夕に願い事を書くのなんか、子どもの頃か、グループの企画以来だ

何を書こうか思案している内に、みつは早くもこどもらしい大きい文字を書き始めた





「………」




なんて書くのかな、とちらっと見て、その途端に言葉を失ってしまった


2枚の短冊には、こう書いてあった










『おりひめさまとひこもしさまがおそらであえますように』











『たいすけとずっとなかよしでいられますように』











れきた、と俺を見上げて笑うみつが、何よりも愛おしい

なんだか泣きそうになってしまい、


「たいしゅけはかかないの？

……たいしゅけ？」






無邪気に聞いて来るみつを、しゃがんで抱きしめた









それから屋台でたこ焼きと、人形の形をしたカステラを買った

小さい保冷バックに入れてきたミルクと一緒に軽く食事を済ませて、すっかりご満悦な様子のみつ


帰り道、手を繋ぎながら、鼻歌を歌っているみつが不意に顔を上げた

「たいしゅけ、たのちかったね」

「うん、みつと来れて本当に楽しかったよ」

「お天気らから、おりひめしゃま、ひこもししゃまにあえるね」

「そうだね、みつがお願いしてくれたし、きっと大丈夫だよ」

「うふふ」

いつもの手を口元に持っていく恥ずかしそうな仕草が本当に可愛らしい


梅雨時の久しぶりの晴れ間の日が今日で良かった

みつが悲しまなくて済んだのだから




みつは、美味しいものを食べた時にも、どこかへ出かけた時も、必ず美味しかった、楽しかったと伝えてくれる


そしてとにかく心優しい


もしこんな恋人がいたらメロメロだな、なんて妄想までしてしまう


とにかくそんなみつが可愛くて仕方なくて、



「みつ、大好きだよ」



言わずにはいられなくて、思わずつぶやくと、ふわりと微笑んで俺を見上げながら、みつもたいしゅけらいしゅき、と答えてくれた

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