みんな元気になりますように 2

熱帯夜 K1 ページ2

ふじがやと連れ立って外に出るのは久しぶりだ


茹だるような猛暑日の続く都会の街は、昨日の夕立で少し息を吹き返したようで、月もきらきらと美しく輝いていて、どうしても外に出たくなった


ちょうど買い物したいから一緒に行こうとふじがやを誘う

俺は自分の家で1人でならTシャツとクロックスで近所のコンビニ、なんてことしょっちゅうだが、ふじがやはそんなことしない

ましてや、俺と2人でなんて、
用心に用心を重ねて絶対に出歩かない


2人の時は俺だっていつもめちゃめちゃ気をつけてるんだけれど



夏になるとタガが外れると言うか、浮かれてくると言うか、気持ちが大きくなってしまう


ましてやこんな、ど深夜なのだから、少しくらいとふじがやを誘うと、周りに注意してよ、と釘を刺された上で、しぶしぶ承諾してくれた



明け方に近い、でもまだまだ真っ暗な、一番人が寝静まっているだろう時間帯


物好きと言われたらそうなのだが、こんな時間ででもないと、なかなか2人では出歩くことができない

久しぶりに2人とも翌日休みをもらっているので、時間にも余裕がある

俺だけ中に入ったコンビニのセルフレジで買い物を済ませて、合流した後、良く散歩に行く公園の中を突っ切ることにした


防犯のためか、所々に街灯はあるものの、本当にごく僅かで、ほぼ真っ暗に近い深夜の公園


周りに注意してと言われたばかりなのに、暗闇でそっとふじがやの手に自分の手を重ねる


ふじがやは一瞬怯んだ様子だったが、状況を見てそのまま握り返して来てくれた


最近の俺は以前にも増してふじがや好き、が募っている

誰かに見られでもしたら一大事だと言うのに
　
すっかり嬉しくなってしまって、握られた手を軽く振りながら

日常の中に潜む、そんな非日常を、少しでも長く味わいたくて、

無駄に公園の中を歩き回った

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