みんな元気になりますように

いつかの再会　F4 ページ10

勝手知ったる、と言うか、以前のことでいろいろ学んでいるので、状況を素早く把握して順応する北山

でもすぐに俺の気持ちに寄り添ってくれるところとか、頭のキレとか行動力とか、もう本当に変わってなくて尊敬してしまう
　

変わってない、はこちらが過去だから、良く考えれば変なんだけれど


結局、今日は休みだと言う北山のたっての願いに根負けして、連れ立って外へ出た


以前に来た時には、もし見られたら大変な事になる、ととても用心していた北山も、本人同士や、歴史が変わってしまうような出来事に関わる人からは認知されないと理解しているので、少し大胆になっているのかも知れない

タクシーを呼び、待っている間地下の駐車場に待機する





「へへ」


「どうしたの？」


「嬉しくて

俺さ、前に藤ヶ谷が10年後から来てくれた時、早く帰って藤ヶ谷に逢いたくて、毎日仕事超特急で終わらせてたんだ」



「え…そうだったの？」


「うん
1分1秒も惜しくて

でも、夜少ししか話す時間なかっだだろ？

だからまた来てくれたの、すごく嬉しい」



…なんだよそれ…
なんでそんなに可愛いんだよ



今でこそ可愛いなんて言い合える関係になったけれど、この頃の北山はいつも大人に見えていたから、

負けないように大人びた態度を取ろうとしていたような気がする

でも北山の心の中にはこんな可愛い北山がいて、

俺がつっぱっていた分だけ、それに気づいてあげられなかったんだ


この頃に戻りたい、と、初めて思った

そうしたらもっと北山も素直になれたかも知れないし、
もっと可愛い北山が見られたかも知れない


「ん？」


俺が黙っているのをどう受け取ったのか、下から覗き込んで来る北山の頭を、

少しでもリラックスさせてあげようと、ぽんぽんと叩いて、嬉しそうなその顔を目に焼き付けた


そんなことは今だから言えることだ



ここでは俺の方が歳上なんだから、

思う存分、甘えさせてあげようと思った

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