みんな元気になりますように

Give it to you (日常) F2 Last ページ39

「生まれて来てくれてありがとう、太輔」







「あ…」








そして漸く気付く






時計を見れば、深夜0時






今は日付が変わったばかりの6月25日







俺の誕生日だったのだ






「きたやま」



「おめでと、太輔」



それはそれは愛おしそうな、

愛に満ち溢れた眼差しとぶつかった


おそらく涙目になっているだろう俺の頭を、きたやまのふっくらとした優しい手が、そっと撫でる






会える日は毎回、

会えない日は心の中で、

ここ数年の俺は愛おしいこの存在に、いつも愛してると伝え続けて来た






ただただ伝えたかっただけで、

照れ屋の恋人に何かを期待していた訳じゃない






愛を確かめ合う行為の最中はお互いに伝えあうこともある


でも、普段は滅多に聞くことが出来ないその言葉は、


だからこそ不意打ちに与えられた俺にとって何にも勝る、かけがえのないギフトだった



言葉なんて、と思っていた時期もあった


けれど、言葉の威力は驚くほど大きい











愛されてると感じると、もっともっと優しくなれる



きたやまがそばにいれば、自分をもっと好きになれる




自信と勇気が湧いてくる








やや震える手できたやまの頬に触れると、その手を優しく握り返された





「きたやま好き…

愛してる」


時々自信なさげにする時もあるきたやま


でも今日は、そんなの分かってるよとでも言いたげに、微笑んでいる



「………俺も、愛してる………」



いつの間にか溢れた一粒の涙を拭ってくれる親指と、

俺の前に回り込んでひざの上に乗り上げたきたやまからそっと合わされた唇は、限りなく暖かい






その後に渡された、
「Always With You」と刻印されたお揃いの時計





絶え間なく与えられ続ける愛の言葉と口付け







「これからもずっとよろしくな」








幸せすぎてもう何も言葉にならなくて、黙ったまま頷いた後、きたやまの背中をぐっと引き寄せ、その肩に額を預けた










-end-

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