みんな元気になりますように

Fの不在(日常) K3 Last ページ26

めちゃめちゃ迂闊だった




愛用していて、背景のようになっていたクッション




そのクッションに香水をかけてあったのだ




ふじがやが、使うことがある、
ふじがやのお気に入りのフレグランス



毎晩よく眠れなくて、
ふじがやがそばにいるみたいになるかと、いたずら半分にやってみた





そうしたら、その晩、

クッションの感触と香りのお陰で、まるで隣にふじがやがいる時みたいに良く眠ることができた


それから香りが薄くなるたびに、そのクッションに香水を振り撒くのが習慣になっていた



だってやっぱりひとりは寂しかったから





クッションから漂う自分の香りに気付いたふじがやには、


俺がそんなバカな真似をしていたことなんか、きっとぜんぶぜんぶ、分かってしまったのに違いない



その証拠に、

「きたやま、かわいー…」

さっきからぎゅうぎゅうふじがやに抱き締められている



「…」

恥ずかしすぎて思わず両手で顔を隠した



「俺は会いたかったよ、
ずっと


毎日きたやまのこと考えてた


ここにきたやまが居てくれたらよく眠れるのにって毎晩思ってた


きたやまとお揃いのアクセサリーだってずっとしてた」



「………」



「きたやまは匂いで俺を思い出してくれてたんでしょ？

同じなら嬉しい」




俺のそんな小っ恥ずかしい行動を揶揄ったりせずかわいいとまで言って、


全部、好きで居てくれる



こんなばかみたいに恋に溺れている俺には、


やっぱりお前しかいないや







「…………本当は寂しかった…………」






「…きたやま…」






「ふじがやがそばにいないと…
もう寝られない」







観念して呟けば、そのままクッションの上に押し倒された




「…もー待てないんだけど
ここでいいよね？」



「またかよ

クッション汚れちゃうからだめ」



「えー？」



憎まれ口を叩きながらもふじがやの首に巻き付けば、心得ているように耳に唇をおとすふじがや



離れていた分を取り戻すみたいにそのあと翌日までずっとくっついて、幸せな時間を過ごした





end

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