みんな元気になりますように

いつかの再会　F6 ページ12

「ここ？来たかったの」

「うん」




降りた先は都内某所のプラネタリウム
　



…思い出した


過去に一緒に行きたいと北山に熱望されたことがある場所


珍しくいっぱしのデートスポットなんかに行きたいと言う北山を可愛いなと思いながらも、その後ケンカして行かれなくなって、未だにその願いは叶ってない



「…北山、今更だけど…
俺と一緒でいいの？」




「え…ど…して」



「いや…この時代の俺も北山と行きたいんじゃないかと思って」


変な言葉だが他に言いようがない




「行きたくないよ、きっと」

「どうして？」



すると、観念したように北山が告白し出した




「……この間
ケンカしたんだ、あいつと」


俯いて、ぼそぼそと呟く北山

知ってはいたが、黙ったまま先を促す


「一緒にこれ見に行こうって言ってたのに、後輩と行って来たって言うんだもん

初めてを一緒に体験したかったのに…」



そうだった


この時の原因は俺だった



たまたま一緒に買い物していた後輩に、通り掛かりに下見がてら中を覗きに行くのを付き合ってもらったら、後輩が見たいと言い出したのだ

色々分かっていた方がデートの日にスムーズかもと思い、軽い気持ちで見てしまい、結果、北山を怒らせたのだ


この頃はそんな風にお互いを思う気持ちが強すぎて、空回りするようなことが良くあった

きっとこうだろうと行動した結果、相手はそう思っていなかったり、圧倒的にコミュニケーションが足りてなかった


でもそれらが相手を想うあまりに起こるすれ違いだと言うことに、気付けるようになったのはかなり大人になってからだ


「つまんないことと思うかも知れないけど…

一緒が良かったんだ」


そんな風に不貞腐れているこどもみたいな北山を見るにつけ、愛おしさが込み上げてくる



「北山、ごめん…
そんなふうに思ってくれてるなんて、あの頃の俺には分からなかったんだ」


「…」


「今北山の気持ちを聞いて、
俺とのことをそんなに大切にしてくれてたんだって、再確認できて、嬉しいけど、
俺でいいのかな…」

「ここにいる藤ヶ谷と一緒に見たい」

俺の腕に手を掛けて北山が答える


「…そっか」


北山の気持ちの動きが今なら手に取るように良く分かる

まだ、意地を張ってるけど、

本当の本当は、

この時代の俺と一緒に見たいだろう


少し悩んだが、俺が今ここにいる意味を考えれば、今の俺に出来ることをしようと思い、北山と中に入った

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