FKの甘い日常-F-

スイカゲーム ページ25

「よ、うりゃ、あーっ」


スマホを見つめながら奇声を発しているきたやまを近付いて覗き込む



「なに、それ？
何してんの？」

「ゲーム」

「ああ」
　
この間見た、きたやまのYouTube番組で、やってた、スイカゲームだ



「おかしかったね、あれ
きたやま、ゲームしてるだけで画が持つの、すごいよねえ」


「見てくれたの？」

「見てるよ、全部」

ゲームしながら、ふふ、と笑うきたやまに並んで座る

俺がきたやまの番組を見てると言うことが嬉しいみたいで、そんなとこいつも可愛い


「おかしいよね
フルーツが大きくなってさ
単純なのに、すごくいろいろ考えるしめちゃハマるよね」


「うん
やってみたらめっちゃハマっちゃうやつで、びっくりした

お、そこ！くっつけ！あーっ！」


「ははは、ダメじゃん
間にいちご入っちゃって」


「くっそー」





目をまんまるにしたり、唇を尖らせたり、動くわけないのに、スマホを傾けてフルーツを動かそうとしたり


きたやまを見ている方がよほど面白い




くっついてそばで覗き込んでいると、

「もも、好きなんだ」

唐突に呟くきたやま





「うん、知ってるよ
きたやまの好きな果物

マンゴーと、メロンでしょ」









「…ももがいちばんだよ」




「そうなの？」












「…これ」







ちょんちょん、とあぐらをかいている俺の太ももをつつく


「……あ」










何言ってるのかと思ったら

おれ？

太ピーチってこと？？
うそ、なにそれ



「うわー、きたやまちょっとお、なにそれ、めっちゃかわいいんだけど！！

あれ、そう言う意味だったの？」


顔をほんのり染めたきたやまを、思わず抱きしめた


「わっ！
ばか、やめろよ、あっ！
ほらー、溢れちゃったじゃん！！」


梨が飛び出したスマホの画面と、俺を交互に睨んでいる


「もうどうだっていいじゃん、そんなの

もも、好きなんでしょ？
やばいー、なにそれ
きゅんきゅんするっ」

「わ、もう、ばか！」




ぎゅうぎゅうにきたやまを抱きしめたまま、


「いつでもいっぱいあげるからね」



全くもって怖くなんかない顔で俺を睨みつけながらも、満更でもない顔のさくらんぼに、唇をよせた

　


さくらんぼと桃のお話☆

-end-

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