花屋とギャルソンの仲間たち(番外編)

想い2-T- ページ37

毎日みやたの家を訪れた


みやたとの時間を作って安心したかった

でも、また断られたらと思うと、泊まったり風呂を借りる勇気はないので、食事を終えると、いつもそのまま帰宅する


職場からわざわざ遠回りしなければならない距離だが、たとえ疲れていても顔を見てほっとするほうがマシだった


今日も良い時間まで宮田の家にいさせてもらい、


「また明日来るから」


帰り際、立ち上がっていつものように言うと、


「玉」


みやたが呼び止めた



「ん？」




「明日さ、きたみつと食事に行く約束してるんだ」

「え？」

「遅くなると思うから、明日はだめだ、ごめん」




初耳だった



そう言えば先日届いていたメール

あれはその約束についての連絡だったのかもしれない



そう思った瞬間、


俺の中に燻っていた何かが一気に噴き出すのがわかった




「…なんで？」


「え？」


「なんで行くの？」


みやたが驚いたように黙って俺を見つめる


「俺が、嫌だって言ったら？
それでも行くの？」



「なんでって…」



「俺のこと、好きなんじゃないの？」




「…たま」


溢れ出る、怒りのような寂しさのような、なんとも言えない感情を止めることができないでいると、




「……俺が、きたみつと食事するのが嫌なの？」
　

みやたに言われてはっとして、どうしていいか分からず途方に暮れて俯いた




これは、


俺のこの気持ちは







「たま、教えて？



なんで嫌なの？」






真っ直ぐに俺の顔を見て聞くみやた



わかってるくせに

言わなくたってもうぜんぶ、


本当は知っているくせに




「………わかってるんでしょ」


それ以上は言えなかった


でも



「分からないよ」


言いながら俺の頬に触れるみやたから、もう逃げられないことを悟る




俺の顔を上げさせ、目詰め合ったその目には、男らしく力強い意思が感じられた




「ちゃんと言ってくれなくちゃ分からない」






俺の顔をみやたに向けさせると、すっと離されそうになる指
　


慌ててその手をにぎって、もう一度顔に近づける




もう、認めざるを得ない








　
「………





みやたが好き………」







なぜか流れる涙は、


みやたを引き留めたいと言っているようだ

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