花屋とギャルソンの仲間たち(番外編)

ふたりの日々9-T- ページ15

「きたみつって本当に可愛いんだ

顔ももちろんなんだけれど、性格も天使みたいに純粋でさ

今日も話してたらきらきらの笑顔で笑ってくれるから、なんだかどきどきしちゃったよ」


「へえ…」


いつも、こんな風だ


その、カフェで働いているギャルソンの男の子のことを、みやたはいつもこんな風に褒める

はじめの内は、同じくらいの歳の男が、そんなに可愛いだなんて、ほんとかなくらいの好奇心はあったが、あまりにも褒めまくるので、だんだん、面白く無くなってきた





なんで面白くないのかって、




…そんなことわからないけど、
　



とにかく面白くない！





「たまは可愛いな」っていつも言っていたのに最近じゃあまりそんな言葉を聞かなくなった


毎日一緒にいすぎて俺に飽きた？


それともその、ギャルソンの子と仲良くなったからなのだろうか




なーんか、ほんと、おもしろくない！




へー、ふーん、と気のない返事を続けていると、



「…なんか玉、上の空だなあ」

唐突にみやたが言った




「…もしかしてさ、

妬いたりとかしてる？」



真面目な顔のみやたに言われ、知らず顔が熱くなるのを感じた



そうだ



こんなのはただのヤキモチじゃないか



それで、こいつのこう言うとこ


思ったって普通言わないだろ



「お前、ばかじゃないの？
そんなわけないじゃん」


睨むようにみやたを見た




「……そんな訳ないよな、ごめん…」


正直すぎて、ストレートすぎて、

…本当のことを面と向かって言われて腹が立ってきて、



「風呂借りるわ」

「たま」

呼び止められたけど、追いかけては来なかったから、守備よくバスルームに逃げ込んだ





これだけ一緒に過ごしていると、時には喧嘩もするが、その原因はだいたい俺のわがままだ

今だってみやたはなにも悪くない


なんでも笑って受け止めてくれるみやたに、とことん甘えている自覚はあるし、

どこまで許してくれるんだろうって試してみたくなるところもある


こどもっぽいかもしれないけど、そうしたくなってしまうくらいに、みやたは優しくて、


…その優しさを独占したくなってしまうんだ

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