僕の大好きな君 2

「好き」ということ-F-3 ページ38

その日の仕事終わりにバイト仲間の女の子が声を掛けてきた

「太輔くんと話がしたいんだけど、いいかな」

先日、俺に告白をしてくれた女の子だった

瞬間ひるんだけど、話の内容も分からないし無下にもできず、断る理由も見つからなくて、いいよと言った


そこがいいと言うので、駅から学校に向かう途中の並木道の大通りにある、緑地公園

遊具なんかは置いてなくて、緑の芝生と桜の木があるだけの、その公園のベンチに 2人並んで座った


バイト終わりに買ってきたお茶を袋から出して、ひとつを彼女に渡した

「…ありがとう…」


「それで、どうしたの？
話したいことって…」

単刀直入に聞いてみる

「…私、どうしても太輔くんのこと諦められなくて…

この間、今は考えられないって言ってたでしょ？

もし、好きな人がいるんじゃないのなら、もう一回考えてもらえないかと思って…」



あの時の自分の断り方に申し訳なさを感じた

今思えば、あんな言われかたをしたら、少しは期待できるかもと思われても仕方がない

一生懸命思ってくれていたら、尚更だ



よく見ると彼女はとても可愛い顔立ちをしていた

際立って目立つタイプではないので、意外と俺と合っているのかも知れない、と一瞬考えてしまう



でも


気付いたばかりの想い


叶わない恋なのだとしても、



心残りをそのままにしておくことは、これ以上できない




「気持ちが本当に嬉しいよ

でも、やっぱり、だめなんだ

俺、好きな人がいる


この間告白してくれた時にも、その人のことが引っかかっていて、

だから、うんとは言えなかったんだ」

「そうだったんだ…」

「俺の言い方が悪かったよね

ほんと、ごめんなさい」

「………」


しばらくの沈黙のあと、

「わかった

ちゃんと言ってくれてありがとう

その人とうまくいくといいね

でももし、うまくいかなかったら、またチャレンジするから教えてね！」

明るく笑う彼女をいい子だな、と思う

「太輔くん」

え、と彼女に顔を向けた瞬間、

ちゅ、と不意打ちのキスをされた

「え…」

「これで許してあげる」

「………」

何も言えずに、ぼうっとしていた時、





公園の外に、俺たちを見ているみっくんを見つけた

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