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夜風が頬に当たる。
ご機嫌な様子の彼の後ろを歩く。
「なんか、」
「うん?」
「文化祭の後みたい」
「ふふ 抜け出しちゃったね」
抜け出しちゃったのは貴方のせいである。
後でスタッフさんになんて言い訳をしよう…
「ほーらー、はぐれないで」
「はぐれないよ」
「りょうくん目印にしたらはぐれるわけない」
「だめ、油断しちゃ」
「しっかり歩いて」
「絶対どこかに連れ去られちゃうもん」
「ない」
「ある」
「ないもん」
「ちゃんと、ほら、
手つないで?」
「…」
「ほら、」
少しだけ酔いが覚めてしまった頭には、その手をそのままとるなんてできなくて、
小指だけ、絡ませた
「…はい」
「小指だけやん」
「かんべんして」
手を引かれてゆっくり歩く
ぶんぶん振り回されて、ちょっと痛いし
指先から全身に熱が伝わってきてて、
めちゃくちゃ熱い。
「いたい、」
「ふふ」
「高校生みたい」
「青春じゃん」
「さすがにアウト」
「いけるって」
「もー、酔いすぎ」
「俺?全然酔ってないからね」
「すっごい顔赤いじゃん」
「いやマジで、俺しっかりしてる方だよ?」
「どこが?笑」
「大丈夫だもん」
「ふにゃふにゃじゃん」
「今ふにゃふにゃしてないやん」
「酔っ払い、」
「酔っ払ってない、平気だもん」
「笑」
「だいじょうぶだもん」
「…強がりさん、」
明らかに様子がおかしい彼が強がってるから、微笑んでしまう
「りょうくんのがかわいいよ、笑」
小指がぐぐっと強く握られる
「痛い痛い痛い」
「…」
ぱって指を離した後、
「…んー!」
ってめちゃくちゃ顔をしかめて、
ちょっと私の髪を引っ張る。
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作者名:雨粒 | 作成日時:2020年9月2日 13時