1/深海の人魚 ページ3
コポコポと小さな泡が所々に浮かぶ海の中。
魚や貝殻が海面から届く日差しに照らされてそれはそれは綺麗に輝いている。
しかし、輝くのは彼らだけではなかった。
海の中を悠々と泳ぐ者の姿。顔はそれぞれ人間であったが、身体は違う。
魚のような脚………いや、ヒレを持ち、それ以外は人間の見た目をした者たち。
そう、人魚だ。
彼らのヒレも日差しに照らされ、星あかりのように輝いていた。
人間と同じように、労働に励む者、楽しそうに遊ぶ子供、そして穏やかに散歩を楽しむ人魚達の姿が窺える。
そんな中に、1人騒がしそうに泳ぐ女の人魚がいた。
青みがかった白色の髪に、紫色の宝石のような瞳。ヒレは薄い青色で、紺色の深海とはいい色合いが印象的だった。
その人魚は、髪の毛をワカメのように揺らしながらずんずんと泳いでいく。
「オーシャン!」
人魚は小さな家に飛び込むと、幼なじみの名前を呼んだ。
オーシャン、と呼ばれた人物は驚いたような顔をしたのち、すぐににこやかな笑顔を浮かべ彼女を迎え入れる。
「やぁ!A!久しぶりだね!」
A。それが彼女の名前である。
「久しぶり!ねぇ人間の世界はどうだった?楽しかった?綺麗だった?あっ、人間は火を吹くって本当?あとそれから………」
オー「もうA!質問が多いよ!1つづつ!」
「あぁ、ごめんなさい。つい楽しみで………」
オー「まぁねぇ〜!人間の世界は未知で溢れてるからね!気持ちもわかるよ!」
2人は昔から仲のいい幼なじみ。お互いのことは誰よりもよく知っており、誰よりも理解していると言っても過言ではない。
今日はしばらく仕事で人間の世界に行っていたオーシャンが帰ってくる日で、人間の世界に憧れるAにとってはずっと待ち焦がれていた日だったのだ。
2人は楽しそうに話をし始め、深海には楽しげな笑い声が広がっていた。
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヴィランズ尊くて無理 - 続き楽しみにしてます‼ (8月9日 17時) (レス) @page19 id: 3b56fa98f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:下呂 x他1人 | 作成日時:2022年10月19日 17時