あの子が好きなら、突き放してよ。【御影玲王】

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いつもとは少し違う朝。


ローシニヨンにした髪と純白のドレス。


コーラルピンクのリップを塗った唇。





悲しみ、喜び、感動｡


全てを感じたあの高校時代からもう5年。


私は今日、結婚する。


まさか初恋の人と結婚するとは思ってなかったな…


まぁ、後にも先にも好きなのは「あの人」しかいないけど。



「花嫁様！もうそろそろお時間です｡」


『あっはい！』


バージンロードは父がエスコートしてくれるとなった。


「あの人」がエスコートする事も出来たけど、やっぱりお父さんが良かったから。


父「ううっ…A…お父さん泣きそうだよ…」


『もう泣いてんじゃんw別にいなくなる訳じゃないし…』


父「でもっ…ううっ…」


『ほら早く泣き止んで〜行くよ〜』


父「おお、行くか〜ｼｸｼｸ」


『もう…本当泣きすぎ！！』


そういえば父は昔からすぐ泣く人だったなぁ。





司会「では…花嫁様のご入場です！」


昔から憧れていた赤絨毯のバージンロード。


一歩一歩、喜びを噛み締めて歩く。


そして、その先で待っていたのは…


私の花婿、玲王だ。


「マジで綺麗…似合ってる。」


『へへっありがと！』


父「…玲王くんなら大丈夫だなぁ…

　 うちの娘を頼むよ。私たちに代わって幸せにさせてくれ。ひぐっ…

　 本当に…おめでとう…ひくっ…」



「ありがとうございます。

　Aの事、世界一幸せにします！！」


父「よろしくなぁ…」







そして時は過ぎ、誓いの言葉に。


「なんか…恥ずいな…」


『ね…』


司会「では、誓いの言葉をお願いします！」


「『本日、わたしたちは皆様の前で結婚の誓いをいたします。
　
　今日という日を迎えられたのも、わたしたちふたりを支えてくださった皆様のおかげです。
　
　これからはふたりで力を合わせて苦難を乗り越え、喜びを分かち合い、
　
　笑顔あふれる家庭を築いていくことを誓います。

　未熟なふたりではありますが、どうか今後とも末永く見守っていただければ幸いです。』」



『…こうだよね？』

「ああ。上手だ。」

『あ…お父さんめっちゃ泣いてる…』

「本当だ。」




司会「素敵なお言葉ありがとうございます！では、最後に誓いのキスを！」


「…A。俺が好きなのは、後にも先にもAだけだ。

　もう絶対離さねぇから。覚悟しとけよ？」


『うん。もちろん！』



2人の陰が優しく、暖かく、そして強く、重なった。


［完］

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