【銀魂】攘夷ずの幼なじみは最強でした4

叶えられなかった夢 ページ5

あ「銀…時…？」

力の入らない手で必死に揺する。

しかし何も反応がなく揺らされるままに揺れるだけ。

あ(どうして、銀時が？)

上手く頭がまわらない。

考えても疑問しか浮かばない。

銀時が斬られた事が衝撃すぎて。

「くそ、邪魔しやがって!!!…まぁ、白夜叉を殺れたからいいか」

そんな声が聞こえてきた。

どうやらコイツが斬ったらしい。

―お前が銀時を―

そう理解した瞬間銀時から手を離し立ち上がった。

先程までの力なかった白夜でも、
戦場での凛々しい白夜でもなかった。

大切なモノを奪われた子供のようだった。

そんな白夜を見ていた天人の兄弟は。

「!!!逃げろ!!!殺されるぞ!!!」

「何を言ってるんですか隊長、夜叉姫も俺が殺しますよ」

わからないのだ。

部下が確実に殺される―そう確信した隊長は立ち上がろうとする。

しかし横の妹がそれを阻止する。

あ「銀時は悪くない。戦場で別の事を考えてた私が悪い。でもやっぱり…お前が1番悪い」

その瞬間、白夜がその場から消えた。

正確に言うと素早く動いたので上手く姿を捉えれなかっただけ。

「ぐぁァァァァ!!!」

断末魔だけが響いた。

次は自分達かと理解し妹を背中においやる。

必死に剣を白夜に向け威嚇する。

そんな目の前の天人の兄弟を黙って見下ろす。

あ「…ねェ、なんで戦場にいるの？」

ふいに尋ねられた。

「…親が借金して死んじまって返済する為だ」

戦争に出れば金が得られる。嘘偽りない答え。

あ「金はなくても取り戻せる。でもね、命は取り戻せない。…金なんてものよりあんたが傍にいることを少なくともその子は望んでるよ」

私もそうだったから―。

「…」

あ「あんたの命を見逃そう。そのかわり妹と仲良く暮らしなよ」

私達はそれが叶わなかったからさ。

目の前の兄弟にそんな自分の理想を託して戻る。

銀時のところへ戻る、しかしまだ意識を失ってる。

あ「こんなところで私もあんたも終わらないよね」

銀時の腕を肩にまわし、持ち上げる。

自分より大きくて重い銀時を女の中では力があってもやはり女。

上手くできず倒れそうになる。

それでも歯を食いしばって耐え必死に戻る。

気付けば青かった空も色を変えてた。

早くしないと、銀時が―!!!

そんな焦りが増してくる。

赤く染まった銀時の白装束が伝えてくる。

そこから命が流れ出てるようで。

必死に布で抑えるが少しずつ溢れていく。

自身の無力さにまた気付かされる。

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