２４！ (ページ13)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:67,400 hit

10時ページ13

「よし、これで大丈夫よ。」

鏡を見れば、おでこに貼られた白いガーゼ。
結構目立つな、と思いながら前髪でガーゼを隠せばエミリーにお礼を告げて医務室を出る。そのまま広間に戻れば、明らかに泣いたあとですという顔をするエマを宥めて事なきを得た。

エマは随分と苦しそうな顔で謝っていたけれど、「エマに怪我がなくてよかった」と言えばもっと悲しそうな顔をしてしまったので辛かった。だからどうすればいいのかわからなくて、「女の子なんだから、傷付けたら大変だもんね」と言うと後ろからナワーブに背中を叩かれた。

酷く理不尽なそれに怒った私が席を立ってナワーブを追いかけ回すので、エマはそれを見て笑う。
そうして落ち着いた11時少し前。何をしようかとお茶を入れて時計を眺めていれば、隣で椅子を引く音がした。

誰かと思ってそちらを向けば、そこに居たのは調香師のウィラ。こちらをじっと見つめている。どうしたのかと思い首をかしげれば彼女は口を開いた。
「それ、額どうしたの？」

ああ、それか。

「ちょっとぶつけちゃって。」
そう言って苦笑いすれば、ウィラは綺麗にくすくすと笑う。
「紅茶の入ったコップにでもぶつかった？」
「えっ！」

コップではないが、ほとんど正解だ。
服に紅茶のシミでもあっただろうか、と思いつつ慌てて身の回りを確認するとウィラは慌てて言葉を付け足す。
「ああ、あのね匂いがするの。床に零したんでしょう？私、匂いに敏感だから…」

成程。ウィラの鼻は便利だな、と思いつつもうすぐ11時になりそうなのを見て昼食を持ってこようと席を立てばウィラも席を立つ。座ったばかりなのに、と思っていれば綺麗なかんばせをこちらに向けて緩やかに微笑む。
「お昼、一緒にいい？」

「…喜んで」

勿論NOなんて、絶対に言えない。