人参食べたら結婚してくれるって言ったじゃん！ (ページ42)

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42口目ページ42

目を白黒させつつも落ち着いたAは、恥ずかしそうにはにかんで謝った。

自分的には構わなかったし、むしろ今回のカスタムはほかのハンターに比べ凶暴で野生じみたAを安定させるのも兼ねて誘ったデートだった。
だからこれでよかった。

サーカスのテント、草臥れたベンチに並んで座って一休み。

不意にAが口を開く。
「私の家、燃えたの」

「…、うん」

ナワーブくんは、急に昔話を始める私に間を開けつつも返事をしてくれた。

ここにきてから何回もぶつかった、
君との意見だったり、ハンターとサバイバーって壁だったり
色々ぶち当たったけど無理やり飛び越えたり壊したりしたよね。

幼い頃に比べて随分と素直だったり、ちょっとクールだったりマイペースになった君と
我儘も気持ちをを言葉にするのも下手になって、人じゃなくなっちゃった私。

昔は私が君にくっつきむしのようにくっついて離れなかったけど、今度は私も離れたくないし
君もそれを望んでくれてる。
もう昔じゃないのに、もう私は人じゃないのにそれも関係なく昔と距離は変わらないまま。
私がちょっと遠慮するようになった部分をナワーブ君が埋めて、そうやって今隣にいられる。

だから、私ももうちょっと歩み寄ろう。
「知らない大人に火をつけられて、ママもパパも燃えちゃったんだけど…私は幼いからって気に入られたのか逃がされてね。」

脳裏にべったりと張り付いているのは赤色だらけ、血の赤じゃなくて炎の赤。
だって血を見る間もなくママもパパも火に絡まれてなくなってしまったのだから。
「それで、…許せなくて追いかけてスコップでたくさん殴ったの。」

そういう趣味だったのかは知らないしどうでもいいけれど私にスコップで殴られる犯人はひどく楽しそうだった。逃げなかったからその場で亡くなった。
「そうやって復讐したから多分、復讐鬼になっちゃったんだと思う。」

ナワーブくんが馬鹿にするとは思わなかったけど、とびきりの秘密を暴露したようなき分の私は、彼がどんな反応をするのかちょっと怯えていた。

「A」
恐る恐る彼の顔を見たけど、彼はなぜか優しく笑ってた。