人参食べたら結婚してくれるって言ったじゃん！ (ページ21)

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21口目ページ21

「A、お疲れさん。」

目の前にぽん、と置かれたタッパー。
美智子ちゃん(と最近呼ぶようになった)らしい鮮やかな紅色のそれを見て目をぱちくりとさせる私。
「毎日毎日疲れるやろ、うちからの差し入れやで」
「差し入れ…」

恐る恐る手を伸ばして、端っこのもち手を掴んで開ける。

そうして、そこにあったのは
「……美智子ちゃん天使か?」
なんとハンバーグだった！
野菜嫌いなのを知ってか美智子ちゃんは差し入れに野菜を入れたりしない。本当に天使だと思う。女の子ってすごい優しいんだなって此処に来て初めて知った。

「ふふ、そんな天使やなんて。言葉が勿体ないで。」
そう言って綺麗に笑った。

毎日毎日疲れるだとか、差し入れ、だとか言うのも、
荘園に来て2週間経った今、私はハンターの感覚に慣れるためにほぼ毎日ゲームに通っていた。

教育係のレオはと言うと、私の様子を見てきっとハンターをしたがらないだろうと思ったからか適度に練習させるつもりだったようだ。

毎日のようにロビーへ走る私を見て、しょっぱい飴で甘い鞭タイプのレオはちょっとオロオロしてた。

だってまた初めてハンターした日みたいにメンタルやられてぐずぐずするなんてやだ。
あと、普通にあの日のことが恥ずかしすぎて寝て起きたその日後悔し過ぎてちゃんとしよ！って思ったのも理由として大きい。

今思い出してもはずか死にそうになる。ちなみにあれからナワーブくんとは普通にご飯食べたりしてる。ハンターのことに関しての愚痴はしてない、しないできない。強がりじゃなくて思い出すからできない。

そういう事で結局同性のハンター、美智子ちゃんやヴィオちゃんと仲良くなってお茶して愚痴したりして解消。

そんな感じで美智子ちゃんとは仲良くなって、たまに気遣ってお茶入れてくれたりこうやって何かくれたりする。女友達って、すごい…！

「Aはこれから昼やろ、それ持って共同リビング行ってきい」
「うん、ありがとう！」
美智子ちゃんの言葉に背中を押されて共同リビングへとタッパーを持って足を進めた。

ハンターにも慣れてきたし、友達も出来たし荘園での暮らしってなんだか思ったよりいいかも知れない。

まあ、ナワーブくんとは進展も無いし実はちょっと距離感を測り兼ねているのだけれど。