17口目 ページ17
なんでいるの、私の問いかけに対しナワーブくんはこう答えた。
「A、話してくれるの待ってたけど話さないから吐かせに来た 今日の試合のこと。」
いや、言うよ、いくらだって言う。
ナワーブくんが迷惑じゃないなら私はなんだって話す なんだって言う、もう やめてよ なんでそんなに優しいことするの？
「ばかやろう、聞きやがれ」
「…思ったより元気だった」
今元気になったんだよ、君のせいで。
「それで、どうだったの」
出会った時とは違う位置にある廊下のベンチ、ここは窓が近くにあって 荘園のお庭とかよく見えるし 月明かりで明るいスペースって言うのがロマンチック。
辛いことが重なったせいでゆるゆるになった脳内、あまり難しいことが考えられないので今はナワーブくんのことしか頭にない。
「…うーん…大変だった」
「はあ………」
勿論ナワーブくんは呆れてる。
大変だった、辛かったし苦しかったんだけど
ナワーブくんが今隣にいるせいで私はふわんふわんほわわんみたいな気分でいる。幸せなんだよ、なんか 何もかも叶った感じ。
さっきまで泣きます無理です みたいな顔をしていたのにゆるゆると笑う私をじとりと眺めたあと、ナワーブくんはぽつり と口を開いた、
「いま、荘園でAの事一番知ってるのって俺だし 幼馴染だし」
「えっ」
なにそれ、何の話が始まるの！？
さり気なく自分がAマスターです発言をされたので内心パーティを開きつつ困惑しながら耳を傾ける。
「多分、Aも俺が一番話しやすいと思うから だから いつでも話していいし、相談も乗るし、サポートするから。」
こちらを横目で見つつ、そう告げたナワーブくんのイケメンさに私が30人くらい死んだ気がする。
「……、う、おう」
曖昧な返事を返したあと、じわじわと喜びを実感して頬が熱くなる。
なんか、幸せだ、
さっき迄あんなに死にそうだったのにナワーブくんがいれば何でも平気な気がするし 本当に凄い、恋ってすごい っていうか、大切な人って凄い。
ほわわんと幸せの沼に浸かっていた私の腕を掴んで引き上げたナワーブくん、さっきは優しげだったのに私が元気になったと悟った瞬間威圧をかけて もう一度こう言った。
「だから今日どうだったか教えて」
「はい…」
勿論頷いた
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作者名：鯖原 | 作成日時：2019年1月24日 2時
