ずっと前から好きでした。【梅原裕一郎】

きす ページ15

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2015年1月




『んんん』


梅原「……」



『んー……』


梅原「……」



『んんんんん』



梅原「……どうしたの、さっきから唸って」



『な、なんでもないです』



梅原「なんでもないわけないでしょ」


『なんでもないです……』


梅原「なんでもないのに人の横顔見ながら唸るの？テレビも見ないで？」


『そ、れは』


梅原「何か悩みでもあるの？」


『ちが、いや違くないですけど、』


梅原「俺じゃ頼りない？」



しゅん、と分かりやすく落ち込んで見せてくる。
飼い主に怒られた後の犬のような垂れた耳が見えてきた……
この人はこうやって自分の顔の良さを自覚した上で行動してくるからタチが悪い


『うぅ、』


梅原「ごめんね、頼りない彼氏で」


『そんなことないです！！』


梅原「でも、言えないんでしょ？」



『言えます！！……あっ』




さらに悲しそうな顔をされたら言えないなんて言えるわけがなくて




梅原「へぇ〜じゃあ行ってみて」




さっきまでの垂れた耳はどこに行ったのか、ニヤニヤと私を見てくる



『いや、あの、』




梅原「なに〜？」



『えっと、』




『き、キス、してください……』




梅原「…え？」




『ドラマの最終話で、キスシーンがあるんです……多分ふりだけですけど、ふりでも梅原さん以外の人が最初は嫌です……』


子供っぽいって思われたかな、気持ち悪いって思われたかな、
なんと言われるか怖くて俯いていると





梅原「俺の名前、可愛く呼べたらキスしてあげるよ」


『うぇ！？』



思わず顔を上げるとそこには悪いことを企んでいる時のニヤニヤした顔の梅原さんがいた




梅原「ほらA、早く」




その上初めて呼ばれた名前で恥ずかしさは倍増




『わ、私の名前……う、うぅ……ゆ、』


梅原「ゆ？」


『ゆ、いちろくん』



梅原「聞こえないなー？」



『裕一郎く、ん』



梅原「ははっ、よくできました」



『んっ』



小さなリップ音が部屋に響く




梅原「これからもずっとそれね。」




そう言ってもう1回私の唇にキスを落とした後、私の膝に頭を乗せゴロンと寝転んだ甘えん坊な彼は真っ赤な顔をする私を下からニヤニヤと見上げていた

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