打ち合わせ ページ5
そんなこんなで放課後。
指定された通り、軽音部の部室へと向かう。
ノックをしようとすると、ドアが開いた。
勿論、そこに居たのは朔間先輩だ。
｢くくく…なんで来るかわかったのか不思議かのう？｣
｢いえ…ちょっとびっくりしましたが…開けてくださってありがとうございます｣
しっかり頭を下げる私にほう、と零し、続ける。
｢お礼が言えるのは良い事じゃ♪でも呼び出したのは我輩じゃからのう。申し訳なさそうな顔をしないでおくれ｣
顔を上げるとそこには優しい笑顔が映っていた。
どうぞ、と言われたので中に入る。
そこには誰もいなかった。
｢今日は概要を話すだけじゃからのう。皆は居らんのじゃよ。｣
納得して、勧められた椅子に浅く腰を掛ける。
｢さて、何から話すかのう…｣
と、呟きながらトマトジュースを取り出す朔間先輩。その背中に問いかける。
｢内容は企画書の通りなら一通り目を通しました。…えっと、付かぬことをお伺いしますが何故あの手の仕事をUNDEADが…？｣
ダーク、と言うならイメージが合うのもわかる。地下ライブハウスも。でもファンシーならばそれこそRa*bitsや、ダークメルヘンならValkyrieなどの方が適任な仕事であろう。
｢まあ、もっともじゃのう…。UNDEADが急にそっち方面に目覚めた…というのは冗談じゃから不思議な顔をしないでおくれ？｣
指摘されて顔を触ると確かに、凡そ使わないであろう表情筋が働いていた。
｢…お世話になってるライブハウスからの依頼でのう…断れんかったのじゃよ。我輩も最初は斎宮君たちを推薦しておったのじゃが、別の仕事があるそうでな。｣
なるほど。
｢そして、嬢ちゃんに頼みたい理由は大きく二つ。一つ目は女の子が絡まないと働かない薫くんを参加させたいから。もう一つはかわいい〜みたいなのは嬢ちゃんのユニットの専売特許じゃろうし、手芸部で学んでいるのじゃろうからそういうデザインが得意そうだと踏んだからじゃ。他にも色々とあるがのう。｣
私の能力…と言っていいのかわからないけれど、が買われているという事実は素直に嬉しかった。
｢早めに決めてくれれば今すぐ決める必要は無いぞ。仁兎くんたちにも確認せねばならないじゃろうしの？｣
｢いえ、に〜ちゃんたちからは好きにしていいと言われています。｣
それから一呼吸。
｢…上手にはできないかもしれないですけど…お仕事受けさせてください…！｣
｢ありがとう。｣
先輩の目は優しかった。
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作者名：ぽあぷるーじゅ。 | 作成日時：2018年2月12日 13時
