透明なラベンダー。２ (ページ32)

今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:124,034 hit

またあの場所でページ32

＊

翌日。

私はまっさらな状態の部屋を見回す。

『忘れ物は…ないよね』

ほとんどの荷物は宅配便で実家に送った。

部屋を出る。

すっかり慣れてしまったこの道も、もう歩くことはない。

雨がしとしとと降る中、傘を差しながら駅に向かう。

新幹線に乗り込み、席に座る。

スマホを見ると、目黒くんからメッセージが届いていた。

目黒くん元気でな

何かあったらいつでも連絡してこい

『目黒くん…(笑)』

窓に雨が打ちつける。

私はそれを見ながら、この3ヶ月を振り返る。

早かったなぁ…

涙がスッと流れる。

もう少し、あの場所で働きたかったな。

手で涙を拭い、私は笑みを浮かべる。

いろんな挑戦をした仕事も、深澤さんに恋をしたことも…

心の中に、思い出として残しておこう。

いつか笑って話せるように。

・

・

・

・

────────────2年後。

後輩「Aさん、このやり方教えてください」

『これはね、このシステムから入って…』

後輩「なるほど！ありがとうございます！(笑)」

『いえいえ(笑)』

先輩「Aさーん、ちょっと手伝ってほしいんだけどいま大丈夫？」

『はい、いま行きます！』

あれから2年、地元の支社に戻った私は、後輩にも先輩にも頼られるようになった。

＊