透明なラベンダー。２ (ページ30)

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彼のやさしい声が頭の中で響く。

この声を聞くのも、最後だ。

深澤《仕事の相談なら、いつでも聞くから》

『…ありがとうございます(笑)』

深澤《なんて、何先輩ヅラしてんだ俺は(笑)》

いつも彼は、私の不安なことや悩みに気づく。

ぎゅっと胸をおさえる。

…辛い。

深澤さんへの思いが溢れて辛い。

こんなにずるい人なのに。

あんなに傷ついたはずなのに。

こんなに辛いなら、好きにならなきゃよかったのかな。

深澤《明日、気をつけて帰りな。明日の天気は？》

『…あいにくの雨です』

深澤《はは、やっぱり雨かー(笑)》

『…雨が降ったら、私を思い出してください』

私を忘れないでほしくて、そんなことを言ってみる。

深澤《うん。雨の日は、あーまたAさんが降らせてるんだなって思うよ(笑)》

きっと、私を思い出してはくれないのにね。

『それじゃ、そろそろ…』

深澤《本当にありがとう。またね》

…またなんて、ないのに。

『はい…っ』

通話を切る。

その瞬間、我慢していた涙が溢れた。

ポロポロ、ポロポロと零れて止まらない。

誰かが駆け寄ってくる。

目黒「…A」

『目黒くん…っ』

目黒「なかなか戻ってこないから、様子見に来た」

『…ごめん』

目黒「…深澤さんと電話してた？」

『うん、最後のお別れ言ってきた。これでもう、本当に終わりだね…っ(笑)』

目黒「…そうか」

彼は最後までずるい人だったなあ。

『…もう戻らなきゃ、みんなも心配するよね』

戻ろうとする私の腕に触れる。

目黒「落ち着くまでここでゆっくりすればいい」

『…うん』

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