君と私とチョコレート。

＊ ページ32

＊


翌日。


昨日は楽しかったなぁ、なんて考えていると、前方から大男がやってくる。


岩本「ちょっと来い」


深澤「なんだよ」


人気の少ない場所に連れていかれる。


岩本「昨日、Aと2人で出かけたんだって？」


深澤「デートしたよ」


俺は壁にもたれながら言う。


深澤「Aちゃんが照のためにって言って買ったチョコブラウニー食べた？」


岩本「…食べた」


深澤「美味かった？」


岩本「美味かったけど、話はそこじゃない」


深澤「彼女、優しいよなぁ、余計惚れ直したっつーか」


岩本「お前、いい加減にその女癖の悪さどうにかしろよ」


照の声のトーンが下がる。


これはかなりガチだ。


岩本「お前の遊びにAを巻き込むのはやめろ」


深澤「お前こそ、何か勘違いしてんじゃねーの？」


岩本「は？」


深澤「俺は本気でAちゃんが好きだ」


そう言うと、彼は少しだけ動揺した。


岩本「…」


深澤「お前がAちゃんを大事にしたい気持ちはわかる。だけど、俺も本気なんだわ」


岩本「…お前のその言葉、信じていいんだな」


深澤「ああ」


岩本「わかった」


彼は俺に背を向けて歩き出す。


あんな表情、久々に見た。


深澤「ふーん…」


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