君と私とチョコレート。

＊ ページ25

＊


『やっと終わった…』


私は伸びをして、パソコンを閉じて立ち上がる。


照に"今日は遅くなる"って連絡したけど、早く帰らなきゃ。


すると、オフィスの出口から話し声が聞こえた。


まだ他にも残ってた人いたんだ。


男性社員「はー、最悪だよ」


女性社員「どうかしました？」


男性社員「いや、うちのチームの桜雪さんがね、どうもミスったみたいで、こっちまでシワ寄せがきちゃって」


思わず陰に隠れる。


私の…話だ…


女性社員「大変でしたね」


男性社員「ほんとこういうの、困るよな〜」


『…』


男性社員「女性は謝れば許されるって思ってるところあるっていうか」


女性社員「それは偏見ですよ〜」


男性社員「はは、ごめんごめん」


…別に、どう思われたっていい。


私はできるだけ、波風立てずに済ませたいだけ。


女性社員「あ、そういえばビッグニュースです！」


男性社員「ビッグニュース？」


女性社員「阿部さん、彼女いるらしいんです！(笑)」


『…！』


私は驚きのあまり、声を出しそうになった。


男性社員「あいつやっぱいるのか〜！怪しいと思ってたんだよな〜」


2人の声が遠ざかっていく。


胸が痛い。苦しい。


こんなときに気づいてしまった。


私は阿部さんのことを…


いつしか好きになっていたんだ…


＊

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