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同僚と別れ、帰り道を歩いていると大学生くらいの男の子とすれ違った。
その人は左耳にピアスをつけていて、私は古い記憶を思い出した。
あれはまだ、私と翔太くんが付き合う前だった。
知り合ってから少し経って、仲良くなった私たちは教養科目の同じ講義を受けていた。
講義中、右隣に座っている彼はしきりに欠伸をしていた。
渡辺「悪ぃ、俺ちょっと寝るわ」
『え、寝るの?』
渡辺「講義が終わったら起こして。あとでプリント見せてくれると助かる」
『うん』
渡辺「サンキュ」
彼はこちらに顔を向け机に伏せる。
『おやすみ』
渡辺「おやすみ」
彼は目を閉じ、眠る。
そんな彼をじっと眺めていると、左耳の2連ピアスに気づいた。
そういえば、彼は毎日ピアスをつけている。
講義が終わり、一緒に歩いているときに私は言う。
『そのピアス、いつもつけてるね』
渡辺「ああこれ?」
『うん、よく似合ってる』
すると彼は、ピアスをひとつだけ外す。
渡辺「ひとつやるよ」
『え、でも私ピアス開けてな…』
渡辺「でも褒めてくれたからやるよ」
『…ありがとう』
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あのピアス、まだ───────────
家に着いてすぐ、ピアスを探した。
『…あった』
タンスの奥底にしまった小さな箱。
彼にもらったものならなんでも嬉しくて、わざわざこんな箱に大事にしまっておいたんだった。
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ayane(プロフ) - 翔亜さん» ありがとうございます! (2020年10月18日 11時) (レス) id: 39d061f7d7 (このIDを非表示/違反報告)
翔亜(プロフ) - 楽しみにしてます! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 068f257b0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayane | 作成日時:2020年10月17日 7時