スマホから推しがでてきた【北信介】

7日目 帰路 ページ30

「そや、前俺のそっくりさんが出てくるゲームやってたやろ？」

『はい、あ、見ますか…？』

「おん、気になっとったん」

私は鞄からスマホを取り出してゲームを開く。

北さんは覗き込むように見てるから顔がすごく近い…

サラサラの髪の毛が少し当たって擽ったい。

『この人です、南川信一って名前で。』

「ほお…。にしてもほんま俺に似とるなあ」

「こない綺麗な顔はしとらんけど」

『いやいや、北さん貴方そんな人間国宝みたいなお顔してるのになんてご謙遜を！』

やばい、また変な事を言っちゃった。

北さんは目をぱちくりさせてから、

「柘榴にそんな褒められると照れるなあ」

とはにかんだ。

顔がいいのに無自覚なんて、凄すぎる。

「顔なんてあんま気にせんかったけどそお言われると嬉しいわ」

『いや、ほんとに北さん凄いです、美の象徴です』

ええいもうやけくそだ思い切って言ってしまえ。

「っふ、可愛ええ柘榴に言われるとやっぱ恥ずくなるわ」


あ、また耳赤い。

(照れるとやっぱ耳赤くなるんだ…)

北さんの意外な一面をみれて大いに満足…って、

私今さりげなく可愛ええって言われた、？

ほんっとに、天然タラシめ、！

「着いたで」

バスを降りても雨は相変わらず降ってる。

「ほら、来い。送ってくわ」

そう言い傘をさして手招きをする北さん

『や、流石にもうすぐだし橋って…』

「まだ言うんか。体調管理はちゃんとしい。」

すこし威圧を感じたので、大人しく傘に入れてもらう。

「女の子なんやから体冷やしたらあかんやろ」

そう優しく言う北さん。キュンときた、軽率に。

『だって、北さんに迷惑かかっちゃいますし』

「だってやない。周りの人に迷惑かけるんはアレやけど別に俺やったらいくらでも迷惑かけてもええし」

えっ、イケメン…

ほんとにこの人と私1個差なのかな、不安なってきた

「まあこんな事言うん柘榴だけやし、存分に来いや」

流石に他の奴らまではしんどいしな、と笑う北さん。

そんな、特別扱いなんて期待するようなこと

『…北さんの天然タラシ』

思わずボソッ、と呟いてしまった。

「なんか言うた？」

『いえ、あっもうここ家です！』

あっという間に着いた家。

「おん、じゃ」

『あ、待ってください！』

足早に帰ろうとしてた北さんを呼び止める。

『あの、肩濡れちゃってるので、私のでよかったら』

ラッキーアイテムのハンカチをポケットから出す。

「ん、ありがとお」




やっぱ北さんはずるい。

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