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太宰ノ独リ言 ページ9

「......太宰さん」

「何だね?敦君」


後輩の敦君と街の巡回中、先程からチラチラと私の顔を見ていた彼は少々遠慮がちに私の名を呼んだ。
私は彼に名を呼ばれた為反応をし、言葉の続きを待つ。彼は自分の唇の端を指差して、紫がかった黄色の瞳で私を映せば、言葉を紡いだ。


「唇の端、切れて血が出てますけど......何かあったんですか?」

「嗚呼、コレかい?」


何だ、そんな事か。
余り気にも留めていなかったので、拍子抜けしてしまった。私は唇の端から流れている血を指で拭い、それを舌で舐め取る。鉄錆の味が口に広がり、私は先刻の出来事を思い出した。

壁に押さえつけ口付け(キス)をした時に、彼女に唇を思い切り噛まれたのだ。かなり痛かったけど、中々悪くない反応を見せてくれたよ。白い頰を赤く染めて、琥珀色の目を潤ませて反抗するあの態度。
とてもゾクゾクした。

私は彼に向かって、適当に「美しい御婦人に声を掛けたら失敗した」と、伝えた。呆れたように溜息を吐き、冷やかな表情になる敦君をスルーしつつ、私はヨコハマの街を歩く。


「全く......ちゃんと仕事をしないと、また国木田さんに怒られますよ」


其れは困る。国木田君は兎に角予定に五月蠅い、仕事人間だ。私は外套のポケットに両の手を突っ込むと、取り敢えず真面目に巡回だけはやっておこうと決める。


「敦君」

「はい?」

「君も、女性の扱いには気をつけ給え」


彼女の目に、私が映る事は恐らく無い。
楢ば『夫婦』と云う今の関係を利用してしまおう。空っぽで、偽りだらけの私達の関係に“何か”が芽生えるかも知れない、何て淡い期待と可能性を込めて。

彼女ハ甘ク艶ヤカ二→←重ネル其レハ偽リデ



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設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます! いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます!嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね!羨ましいです! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます!成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です! (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております!笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 初めまして!いつも!? え、え、有難うございますっ 楽しく!?...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね!感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年5月27日 11時

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