太宰夫婦は何処か冷めている。【文豪ストレイドッグス】

標的ト監視役 ページ6

「......人虎と一緒に巡回に行っていたのでは?」

「敦君には、先に行っておくように話したから暫くは大丈夫だと思うよ」


ニコッと云う表現が似合いそうな笑顔を見せたのは、先程敦と共に街に巡回をしに向かった太宰 治だった。彼は相手に歩み寄る、相手はそれとは対照的に、一歩ずつ距離を取る。


「そんなに警戒しなくても良くないかい?」


私哀しくて泣いちゃうよ?と、口調は冗談めいていたが、彼は眉を下げてしょんぼりとして見せた。相手の方は冷ややかな目を向けると、大きな溜息を一つ吐く。

呆れているようだ。
長い睫毛に縁取られた琥珀色の瞳には、眉を八の字に下げる太宰の顔が映る。両腕を組み、壁に凭れ掛かると、相手は淡々とした口調で述べた。


「泣かないでしょう、貴方みたいな人が泣いたら明日は槍が降るかも知れないわ」

「そこまで言うかい、全く......先刻迄はとても可愛らしかったのに」

「先刻の事は思い出したくないから、二度と言わないで下さい」


頭を抱えながら、相手は太宰に懇願する。そんな相手の姿を、太宰は心底楽しげに眺めれば「考えておくね」と、曖昧に返した。


「異能特務課って事は......連絡した相手は、安吾かな?」

「貴方には関係の無い事よ」

「否、関係あるさ。だって、私は君に監視されているのだよ?異能特務課所属＿＿E/C5057、太宰 Aちゃんに、ね」




____内務省異能特務課

E/C5057

太宰 A



太宰 治の監視役だ。

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