哀シミニ暮レル過去 ページ49
「そうだとしても......一度見た夢を頭から消すことは」
少女は叫ぶ。
己の自由を掴み取る為に、刀を振るう。其の瞳に映してしまった世界の優しさと眩しさに、まるで恋をするかの様に焦がれていた。
白雪が尾崎との距離を一気に詰め、刃を肩に向かって振り翳す。此の侭無抵抗に、彼女は刃の餌食となるかと思っていたが、相手はマフィアの幹部だ。
簡単に遣られる筈が無い。瞬時に金色夜叉が現れ、白雪の刀を仕込み杖で止めてしまった。
「戻れ鏡花 判っておる筈じゃ」
「嫌___ 戻りたくない、それでも私は___」
尾崎の云う事が、全く判らない訳ではない。泉自身、自分が光の世界の人間には成りきれないと薄々感じていた。つい最近までマフィアの暗殺者として生きて来た、敵と判断したら直ちに排除をしようと動く夜叉を思わせる狂気性、向いていないのかもしれないと考えた。
それでも、少女はもがくのだ。
「そなたは目的の為に凡百殺戮を正当化する、その本性は変えられぬ」
だが、尾崎はそんな泉に向かって最悪の出来事を告げる。誰にも知られたくなかった、泉が夜叉を使いたくないと云う、本当の理由が中島のいる前で話された。
「でなくばそのように、夜叉を武器として使える筈がない。何故なら夜叉は____」
“そなたの両親を惨殺したのじゃから”
「......!!」
「そんな どうして......」
泉の異能である夜叉白雪が、両親の命を奪った。詰まり、
中島は目を見開き、驚愕する。何故彼女がその様な事を行なってしまったのか、判らなかった。泉は中島の方を向けば、蒼白な
知られてしまった。よりにもよって、一番知られたくなかった彼に、慌てて泉は科白の続きを言おうとしたが、携帯を持っていた手の力が抜けてしまう。
ガシャアッ ピシッ......
地面に叩きつけられた携帯は、強い衝撃を受けると画面に皹が入る。白雪を召喚する為の携帯が壊れた事により、泉の異能は解除されてしまった。
キキ––––––––ッ
弁解する余地もなく、尾崎の周りを黒い車が何台も止まり取り囲んだ。武装した黒服の男達が車から降り、中島に向かって銃を向ける。
「私が守って遣ろう、もう居場所を求めて刃を振りかざす必要は無い」
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ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます! いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます!嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね!羨ましいです! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます!成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です! (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております!笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 初めまして!いつも!? え、え、有難うございますっ 楽しく!?...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね!感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年5月27日 11時