勝者ト敗者ノ入レ替ワリ ページ30
「......最初から?」
「ドアが開いた瞬間に、谷崎さんの『細雪』で扉の映像を偽装した」
彼の科白を聞いた私は唖然とした。
谷崎の異能力__『細雪』は、私も噂には聞いていた。具現化させた雪を降らせ、其の空間をスクリーンに変え、幻影を投影したりする他、風景や自分自身に背景を上書きする事が出来ると云う。
直接攻撃には向かないが、隠密には向いている上に恐ろしく暗殺に向いている力だと、特務課でも目を光らせられていた。
あの扉が閉まるまでの一瞬のうちに、空間に扉の映像を偽装した谷崎も見事なものだけど、人虎の力に私は驚かされたのだ。
部屋に吸い込む力に、虎の腕力で壁を掴み抵抗をするなんて、滅茶苦茶だけどそんな芸当は誰にも思いつかない。
「君は......思い違いをしてる。僕は強くも 人気者でもない。寧ろ生きる事はずっと呪いだった___だから、他人を妬み怨む君の
生きる事は呪い、か。
「本当は君にこの作戦を失敗して欲しくない 居場所を失って欲しくない! でも____僕は弱くて未熟だから他に方法が思い付かない」
其れは人虎__否、中島 敦の心からの
「これは......!」
あの時受け取っていた飾帯が、彼女の身体に結ばれていたのだ。
如何やら、部屋に引き込まれる直前に行ったらしい。目が追いつかない圧倒的な速度で、彼は二つの事をやってのけてしまった。
飾帯を引っ張ると、モンゴメリは中島の方に吸い寄せられて捕獲される。
勝者が敗者となるのは、時間の問題だ。
「放しなさい!」
「異能を解除して皆を解放しろ。でないと君を 奥の室に引きずり込む」
「そんなっ......!」
其れは唯の脅しかと思った。穏やかな人柄をした彼が、とてもその様な事をするとは考えられない、けれど人は時に簡単に、鬼にも夜叉にもなる事が出来る。
アレは本気の目だ。
「鍵がなければ扉は開かない。なら君が幽閉されれば......扉を開けられる人間は誰もいなくなる。そうなってから能力を解除しても、君は元の世界に戻れない____違うか?」
「それは......」
どんなに強力な異能を持っていても、必ず弱点は存在する。無敵の力もなんて有り得ない、相手の急所を突き、徹底的に叩くのが、この
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ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます! いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます!嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね!羨ましいです! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます!成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です! (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております!笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 初めまして!いつも!? え、え、有難うございますっ 楽しく!?...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね!感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年5月27日 11時