覚悟ヲ決メタ虎ノ少年 ページ28
「Aさん......?」
「圧倒的に此方が不利。でも____まだ完全に不利な状況に追い込まれたわけじゃあない」
「でも方法が」
少し考えれば読める状況だ。
後は其れに、人虎が気付けるのかと云う事が遊戯勝利に繋がる鍵となる。私は人虎の方に視線を向けると口角を上げ、安心させる様に簡単に説明をする。
「彼女の云う通りだよ。それに、絶対に敗けぬと高を括る敵ほど容易い相手はいないよ」
男も不敵な笑みを浮かべ、私が先程考えた推測を淡々と話す。丸で、心を読んだのかと思う程に考えている事が同じだと解り、思わず溜息を口から洩らしてしまった。
人虎の表情は晴れず、瞳には絶望の色が落とされたまま。
だが、男の或る科白で彼の表情が変わる。
「
其の言葉で、完全に彼のスイッチが入ったみたいだ。男が持っていた飾帯を受け取ると、再びモンゴメリとアンの元に戻る。
瞳の中から絶望の色が完全に消えた訳ではないが、もう大丈夫そうだ。
「流石ですね」
「......私は何もしていないさ、最終的に逃げるか闘うかを決めるのは彼自身だからね」
「......」
まあ、そう云う事にしておこう。
「お話は終わり? やる気は戻ったかしら。そうでなくちゃ面白くないわ、でも___」
“終わりよ”
アンが姿を現したのは、何と床からだった。無数の手が人虎に伸ばされるが、彼は足を半分だけ虎のモノに変え、床を脚力で跳び上がれば窮地を脱する。
けれど、アンは
上にもう一体、別のアンが人虎を待ち構えていた。
「もう一体!?」
「そちらは二人なのだから当然でしょ?」
距離は僅か数センチも無い。巨大な手が、人虎の身体を捕まえた。
「しまっ......」
人質を収納する為の扉が開き、其処からも無数の手が飛び出してくる。谷崎を捕まえた時と同じ、あっという間の事だった。
凄まじい速度で人虎を扉の奥に引き摺り込み、静かに扉は閉められる。
「はい おしまーい★」
残されたのは、私と男の二人だけ。
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ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます! いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます!嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね!羨ましいです! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます!成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です! (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております!笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 初めまして!いつも!? え、え、有難うございますっ 楽しく!?...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね!感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年5月27日 11時