少年ノ絶望ト女ノ静カナ移ロイ ページ26
「不公平よ」
嗚呼、私は彼女が云いたい事が何なのか今気づいた。モンゴメリは人虎に【嫉妬】をしているのだ、人虎は自分とは違って仲間から大事にされている、けれど自分は違う。
羨ましいという感情が、抑えきれなくなってしまった。私も、人虎も、白衣の男性もモンゴメリの言葉に何も返せない。そんな私達の様子を見ても、彼女は特に気にする素振りを見せなかった。
静かに、ゆっくりと人虎に向かって一歩ずつ歩み寄るとニヤリと歯の矯正ギプスを見せて笑う。
「貴方もあたしの気持ちを思い知るべきだわ＿＿__この部屋の中で、永遠にね」
科白と共に、アンの無数の手が人虎を捕まえようと伸ばして来る。先刻よりも速度が増し、人虎はアンの攻撃を避けることがギリギリになってきていた。
「何か嫌な記憶でも 思い出したのかな?」
「......別に、何でも有りません」
思い出したくなかった。
私は男の言葉に対し、緩々と首を横に振り乍答える。俯いていた顔を上げモンゴメリと人虎の状況を確認したら、私の予想を上回る光景が広がった。
人虎は直ぐ後ろに有った
一瞬の隙をつき、丸で弾丸の様な瞬発力で贈呈品とアンの間を駆け抜けると、人質が囚われている扉の目の前にやって来る。
このまま彼が扉に鍵を差し、遊戯終了かと思っていたのだが＿＿＿そう簡単な話ではなかった。
「少年! 危ない!」
「え?」
鍵がグニャリと歪み、形を変え人虎の首を裂こうと狙ったのだ。男性の声のおかげで間一髪、首筋を掠めるだけで済む。
驚いた彼は鍵を投げた。チャリンッと、金属と地面がぶつかる音が鳴り、モンゴメリが鍵を拾い上げる。
「あら、大事な鍵をこんな風に扱って......孤児院の先生に叱られるわ」
「......成る程、そう云う事だったの」
不気味な声を上げて笑う鍵。
私達は尤早く気付くべきだったのだ。
「鍵でドアを開けたら勝ちじゃあないのか!」
「そうよ、
最初から、私達は遊戯に負けていた。
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ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます！ いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます！嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (
レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね！羨ましいです！ (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ﾔﾖｲ―さん» コメント有難うございます！成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です！ (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ﾔﾖｲ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております！笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ﾔﾖｲ―さん» 初めまして！いつも！？ え、え、有難うございますっ 楽しく！？...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね！感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサぽん | 作成日時：2019年5月27日 11時
