【d!】Nightmare Cage【ﾛ兄鬼】 (ページ22)

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檻、弐拾弐ページ22

ショッピくん置いて逃げてきてしまった、そう思った時には既に遅かった。戻りたくても恐怖が勝り、戻ることは出来ない。咄嗟に逃げ込んだ浴室でガタガタと情けないくらいに身体を震わせた。
しばらくすれば金属音は止み、一瞬、悪寒が走った。ただそれも一瞬で落ち着いた。ショッピくんは無事やろうか、そう考えるくせに部屋から出ようという思考には至らなかった。
立てはする、その思いからかとりあえずこの部屋を探索しよう、と、重い腰を上げた。

至って普通の浴室。正しいていえば何処か懐かしい匂いがした。なんだろうか、と漁ればシャンプー。ただのシャンプーだった。……誰かが使っていたっけ？思考を巡らせる。やんわりとしか思い出せず、誰が使っていたかまでは分からなかった。
浴室を探していれば、鏡に文字が書いてあった。

【真実は君たちには見えない。
さぁ、よく見てごらんよ。
嘘つきはだあれ？】

それだけ書かれていた。……真実は君たちには見えない？嘘つき？思考を巡らせる。俺が知りえてる真実で言えばロボロをどうにかしなきゃ、ということになる。――それが嘘なら？誰だ。まず、誰が嘘をついているか分からない。
分からないことにイラつき、頭を掻き毟る。何か他の情報があるのか……。見落とし、もしくは、探せない場所……――推理？推理材料がどこかにあるかもしれない。
鏡を見ながら思考を巡らせていると浴室の扉ががちゃりと開いた。思わずその場から飛びのき、そちらに目を配るとショッピくんが立っていた。
――一瞬の、違和感。微睡んた瞳というか、少し匂いの違う何か。明確に何が、とまでは分からないが。

「……あ、大先生こんなとこにいたんすね。」

「お、おん、良かった無事で……すまん、逃げてきてしまって。」

「……？」

きょとん、とした表情を浮かべるショッピくん。「何がっすか？」と言われれば、俺の頭にもハテナが浮かんだ。忘れてる……？なんで、忘れてるんだ、と思えばはと気付いたこと。彼からシャンプーの匂いがする。正確に言えば匂いが移っていた。
匂いが移るようなことはあるだろうか、そう思えば辿り着く答えは先程の和服の女性だった。彼女が懐かしい匂いを纏っているのは理由が分からないが彼女に接触して、ショッピくんが可笑しくなっているのなら。
――彼女は、危険？だけど、接触する価値はある。固く拳を握りしめ、ショッピくんに「なんでもないわ。」とだけ言い残し俺は彼女を探すために館を歩くことにした。