【d!】Nightmare Cage【ﾛ兄鬼】 (ページ20)

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檻、弐拾ページ20

皆痛みはないのかケロッとしていて、何があったのか尋ねても首を傾げるばかり。ほんまコイツら痛みの感覚バグっとるんか？
何を見ているのかと絵画を見ればそこには。

「――」

鴇色の髪をしたメイドが後ろに仕え、対軸にシャオロン。そして写真で見た金髪の男性とふわふわとした髪をした女の子。

――おい、トントン、お前は本当に優秀な男だ。是非、我が家に来ないか？
――行かへんわ。
――何でや！はーー。トントンおったら絶対楽しいのに。なぁ！俺の姉さんに会わへんか？
――なんやロボロ、姉さんおるんか。
――初めまして、トントン様。私……――

ふと、頭の中に浮かんだもの。それが何かは分からない。ただ、懐かしいのに会話した記憶もない。それ以上深く考えれば痛くなる頭。やめよう、視線をあげれば皆、一様に頭を押えていた。……何か忘れてる？――そして感じたひとつの違和感。それはすぐにかき消された。
シャオロンとロボロだけは様子がおかしかった。二人が異常なほど痛がったから、その違和感はすぐに消えてしまった。
大先生に一人で立ってもらって俺はすぐさま声をかけた。

「なんで……俺……姉さん、姉さん、会わなきゃ、姉さん、何処に、なんで、消え、俺、……どっちなん、幼馴染……姉さん？俺、何処に、存在して、」

「アシュリー、アシュリー……アイツ、無茶ばっか、ショッピくんに、ころされ、あ、でも、幼馴染……え、俺、なんで、やっぱり俺、これ、ちが、」

頭を押えながらブツブツと呟き続ける彼らに言葉は届かない。なのに、二人はまるで息を合わせたかのように。

「あれは――アシュリー、俺の、妹や。」
「あれは――アシュリー、俺の、姉さん。」

カチリ、歯車が噛み合ったような音がした瞬間。
なにか鼻をつく臭い。なんだ、と辺りを見れば階段の辺りから、煙が燻っている。ソコから頭がでてきた。ずるり、這い出てきたそれは不定形。鼻を思わず押さえたくなる刺激臭――……ずるり、出てくる其れに、警報が鳴らされた。

「お前ら、逃げろ！」

大先生がいの一番に声を出した。其れに合わせるように皆が走り出した。……ゾム以外は。

「……に、逃げてたら、誰も、守れん……。お、俺、もしかしたら、……あかん、こと、忘れてる。もう、それはいやや、俺が、守る……！」

絵画の下に置かれた半透明の日本刀を手に取る。それは薄緑色に輝きを持たせた。ぞわり、寒気がする。