【d!】Nightmare Cage【ﾛ兄鬼】 (ページ1)

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檻、壱ページ1

勢いよく雨が降り注ぐ。ザァザァと窓に打ち付ける雨が酷く煩い。雨宿りに、と時たま見つけた大きな屋敷にお邪魔させて頂くことになり、びしょびしょの身体を見たメイドさんがタオルを持ってきてくれた。

「皆様、こんな雨の中大変でございましたね。今すぐ湯を湧かせてきますから、とりあえずこちらでお拭きになってください。あちらに暖炉も御座いますから。」

ふんわりと笑う鴇色の髪を揺らすメイドさん。細められた目が開くことがなく常に笑顔だな、という印象だった。きっとここにいる誰よりも身長が高い彼女はタオルを配りながら、どことなく異質の雰囲気を放っている。きっと、日本人ではないからだろうか――。
時折、気味が悪いと思ってしまう。細められた目が更に細くなったり、慈しむような目線。何故そのような目線を向けられているのか、私には一向にわからなかった。

「ありがとう、御座います……。」

「いえいえ、これくらいのこと。お気になさらないでください。さぁ、冷えてしまいますから、暖炉の方へ皆様。」

私達は案内され、暖炉の前で身体を温める。じんわりと温かさが広がっていき、雨で冷やされた身体が解されていくような感覚。ほぅ、と息が漏れれば、メイドさんは「それでは失礼致します。」と手を重ね、腰を折り曲げ、退出していく。
酷く刺さりそうな視線を向ける幼馴染達を後目に何故、こんなことになってしまったんだろう。さす、と指先を擦り合わせながら辺りを見れば皆それぞれに談笑している。
じんわりと胸の奥底に広がっていく心の染み。何かが妙に引っかかる気がしたが、頭を振りそれを晴らす。ねぇ、と隣にいたシャオロンに声をかける。
裾の長い制服を見に纏い、帽子を被ったシャオロンがそれに反応してこちらを振り向く。険しい顔をしたまま梔子色の瞳を揺らす彼にそのまま声をかける。

「……誰が肝試し行く、とか言い始めたんやっけ。」

「……あー、誰だっけ。誰かに言われた気がするんやけど。」

お互いして首を傾げる。その誰かを思い出せず、名前を出して言っても妙に胸に落ちない。意地悪くハマらないパズルのピースがむず痒い。シャオロンと先程まで話していたロボロ、ショッピも此方に耳を傾けて考えているが分からないのか頭を振っていた。
そのまま二人して話し込むのを見てかシャオロンは俺わからんわ、と言わんばかりにその輪に混ざってしまった。