青とマキ ページ41
「亡者、、いや、マキ、、、お前を閻魔庁へ連行する」
斬島は亡者と成り果てたマキの前に立つ。彼女の暗い暗い瞳には光はなく、ただただ闇が広がっている。斬島は用心しながら彼女に近づいていく。
「なんで、、、、なんで私を追いかけるの？私は悪くない、、、悪くないのに、、、、」
「お前は生者に手を掛けた。それが罪だ」
「なんでよ。あいつらは私を傷つけた。だから私はっ、、、、」
「、、、、あそこまでする必要があったのか？」
獄卒の斬島にとっては、罪をおかす事事態が処罰の対象なのだ。だから疑問だった。なぜ自らを追い詰めるような事をしたのか。実直な彼にとっては素直な質問だった。しかし、それはマキのささくれた気持ちを刺激する結果となった。
「あんたに何が分かるのよ！私の苦しみも悲しみも、、、、痛みも、、、何も知らないくせに！！」
「っ！！」
マキに取り巻く闇が狂暴化し斬島に襲いかかる。
鋭い爪に変化したマキの手を何とかカナキリで弾きながら、言葉を繋ぐ。
「お前が今まで受けていた仕打ちは耐え難いものだったのは理解できる。お前の境遇を憐れもう。だが、お前のしたことは許されない事だ。罪は、、、償わなくてはならない」
「…………さい、うるさいうるさいうるさい！！私は悪くない！！あんたなんかに私の気持ちなんて分からないっ！！消えてよ！いなくなってしまえばいい！！」
ますます逆上し斬島に掴み掛かるマキ。もはや自分の声は届いていない。ならば。
斬島はカナキリに手を掛けた。
「抗うのなら、、、力ずくで連れていくまでだ」
聞く耳を持たないマキに刀を抜く。ふと思い出す愛しい彼女の顔。マキを助けたいと何度も自らを危険に晒してきた優しい彼女。でも、いま自分はマキを傷付けようとしている。脳裏の彼女の顔が悲しげに歪む。それを見た斬島の胸の奥がズキリと痛んだ。
「すまない、、、イメルダ、、、俺は、、、」
心臓部を押さえ、うつ向く斬島にマキが襲いかかる。
やらなければ、、、やられる、、、、。
再び刀を構え迎え撃とうと振りかぶる斬島の背後の扉がバンと開いた。
『斬島さんっ！』
彼の前に躍り出る白と紫。ふわりと漂う金木犀の香り。
ーガキィンッー
鞭を使いマキの攻撃を防ぐ、その人物は脳裏に浮かんでいた愛しくて仕方ない女性。
『大丈夫ですか？斬島さん』
「イメルダ、、、」
、、、イメルダだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊羽(プロフ) - 月華さん» ありがとうございます！！これからも駄文ですがコツコツ更新していきますので、よろしくお願いいたします。イラストへのコメントもありがとうございます。 (2016年7月4日 8時) (
レス) id: 9a8d1a9239 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ていうか画力が神ですね！尊敬します！ (2016年7月3日 13時) (レス) id: 733f44e5a8 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - すごい大好きです！応援してます！ (2016年7月3日 13時) (レス) id: 733f44e5a8 (このIDを非表示/違反報告)
柊羽(プロフ) - リンカさん» ありがとうございます。拙い文章ですが、楽しんでいただけて嬉しいです。 (2016年3月28日 19時) (レス) id: 9a8d1a9239 (このIDを非表示/違反報告)
リンカ - 凄く面白いです！！ 更新頑張って下さい！ (2016年3月28日 14時) (レス) id: bf716977a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊羽 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/ys3127/
作成日時：2016年3月22日 19時
