【男主】見合い相手が超絶タイプだった【躑躅森盧笙】

9話 ページ10

side:A


盧笙から送られてきたLINEによると、
調子に乗って酔い潰れている間に、何故か呼び捨てしあう仲になっていたようで、急な距離の縮まり方に頭が追いつかない。
幸いそれ以上に失礼な発言などはなかったようで、少し安心した。

今日という日の埋め合わせをすべく、俺は次の週の金曜に仕事終わりの盧笙と飲み行き、その翌る日も飲みに出かけ、幸せな時間を過ごした。
たしかに盧笙は俺の事を呼び捨てで呼んできたし、最初は照れくさかった俺も自然とそう呼べるようになっていた。

俺は会話の中で人を笑かすのが好きな方で、度々ふざけたりするのだが、そのたびに盧笙が入れてくるツッコミが結構キレキレで、
楽しくて……とても心地がよかった。

盧笙は、恋人を作る気はないと言っていた。
そんな盧笙にとって俺は見合いを通して出会った奇妙な友人の一人にすぎないだろう。
会話の最中に彼の笑顔を頻繁に引き出せるくらいには仲を深めたつもりではあるが、
一体ここからどうすれば恋愛関係に発展させることができるのか。

でも今は一目惚れした相手とこうして仲を深められている事が嬉しくて、焦らずともゆっくり彼のことを知っていけたらそれでいいと思えた。

俺は今週末も飲まないかと盧笙を誘うためにLINEのトーク画面を開く。


◇◆◇


盧笙は今週からテスト期間に入るそうで、飲みの誘いは振られてしまったが、テストの問題作りは自宅でするから暇なら通話をかけてきてもいいという盧笙の言葉に甘えて、ほぼ毎日電話をかける図々しい男と化していた。
と言っても作業通話なので、集中している間は基本無言で、盧笙の方からはキーボードをカタカタ叩く音が聞こえてくるだけなのに、すぐそばにいるような気分になってフワフワする。

『…ふぅ、今日はここまでにしとこか。』

「今日は何問作れたん？」

『文章題2つ作ったな。』

「おつかれさま〜」

『なぁ、こんな喋らん通話おもろいか？』

「俺はおもろい！それに、盧笙が集中してる間は俺も作業してるし、全然気にすることないんやで？」

『そうか？ならええけど…。ひと段落したし俺飯食うて風呂入るわ。このまま繋げとくか？』

え！？このまま繋げててもええの！？
じゃあ通話繋げたまま…一緒に飯食ったり…できるってこと！？

いつもはひと段落したら飯や風呂や言うて通話を切ってくるのに…。

食い気味に”うん！” と返事をして、食事を一緒に済ませ、風呂上がりに酒を飲み、布団に入るまで通話を繋げ続けた。

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