8話 ページ9
side:A
…
…最っ悪や。絶対嫌われた。
カッコわる。
「酔い、覚めたか?」
「ん…。ごめん。最低やんな。」
「しゃーないやろ。」
気がつくと、俺は公園のベンチで横になっていた。
盧笙さんがここまで運んでくれようで、飲んでた店の会計は俺がしといた、と言ってきた。
俺から誘ったはじめてのデートで。
テンション上がって飲みすぎて。
潰れて迷惑かけて。
「レシートもらった?
俺が誘ったし俺が出すつもりやってん…」
「あー、もろてないな。いらん言うて出てきた。
気にせんでええで。」
「そか………、なぁ。」
「ん?」
「………また埋め合わせさしてくれる?」
もう会うてくれる訳ないやん。
店の会計なんぼかわからんけど、数万押しつけてもう逃げよかな。アホすぎる。
は〜〜情けない。
なんかもう泣きそうや。
「…ほな次は俺が潰れるから、お前が会計全部して介抱せえ。それで許したろ。」
──え、うそん。
こんな最低男とまた会うてくれるん…?
あまりの嬉しさにすごい勢いで上体を起こすと、視界がぐらつき脳みそが揺れる感覚がした。反射的に目を瞑る。ガンガンする頭を片手で抑えながらゆっくり目を開けて盧笙さんをみると、少し口元が緩んでいた。
「盧笙さん…」
あまりの綺麗さについ名前を呟くと、顔が急に曇りだした。
「…もうやめるん。」
「えっ、な、なにを…?」
「何って。呼び捨て。」
へ?呼び捨て?
俺そんな失礼な事しとったん!?
呼び捨てはもーちょい距離を縮めてからのつもりやったのに…!
一瞬にして青ざめたが、盧笙さんは少し斜め下を見つめながら俯き、若干頬を赤らめているような…気がする。
「ごめん、あんな、正直さっきまでの記憶が曖昧で…
嫌やった…?」
どんどん汗が吹き出てくる。
「別にええんちゃう?今更変えんのも、なんや変な感じするし」
「ほんまごめんな……
ろ、盧笙…」
ただ呼び捨てするだけなのに、喉元が締まって、心臓の鼓動が耳まで伝ってくる。
「……っ。
あ!終電そろそろちゃうか!?」
盧笙…が慌ててスマホの乗り換えアプリを起動して時間を調べてくれた。終電まであと3本。若干支えられながら駅まで辿り着く。
「ありがとう。今日はほんまにごめん。絶対に埋め合わせする」
「おん。言うたで。」
「ほな…おやすみ〜」
片手で改札にICカードを当て、盧笙にヒラヒラと手を振りながらホームへと急いだ。
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柊(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます!励みになります(><)!ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)! (5月5日 1時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです!繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…!甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜! (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
粽(プロフ) - メガネクンさん» コメントありがとうございます!ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネクン - この作品めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2023年3月20日 5時