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23話 ページ24

side.A


反省が尽きない夜は明け、昨晩盧笙の家を出てから決めた約束の時間があっという間に訪れた。
いつもの心地よい香りを纏った盧笙の隣を歩く。
キョウトは世界文化遺産が多い。数カ所案内してやると盧笙が、「生徒のための下見やのに、普通に観光してる気分になるわ」と笑顔で語ってきた。

今日…今日こそはビシッとかっこよく!…までは無理かもしれんけど、決めたるで……!


◇◆◇



─八坂神社


「良縁祈願の絵馬ひとつ」

ハート型の絵馬を受け取る。
盧笙は俺の持つ絵馬の形を見て少し固まった後、財布の小銭入れを開いて「なんぼやった?」と聞いてきた。

「んなことええねん」
「いや払わしてくれ」
「やから………盧笙…!」


「あの、先に謝らしてほしい。ごめん。」
「な、何に対して謝ま…」

盧笙の声を遮るように言葉を重ねる。

「俺は、初めて会うた時から……盧笙の事が好きやった。やし気のないフリして、お前を騙して、今日まで来てしもて…。ほんまにごめん。」

「うん。」
「…え、驚かんの。」
「ええから続けぇ」
「えっと、せやから」
「ほんで?…俺が好きで、どないするん。」

心臓の鼓動が、全身を揺らすような大きさとスピードで鳴り響く。絵馬を握る手も酷く汗ばみ、絵馬に滲み移りそうだ。俯きがちになっていた顔を上げ、目の前の愛しい人の瞳に吸い込まれそうになりながら、俺は口を開いた。

「盧笙と、一緒に居たい。ずっと…。

──俺と結婚を前提に付き合ってください。」


束の間の沈黙。気まずさに耐えられない。視線を逸らすか。そう思った時だった。
盧笙は周囲を軽く見渡して俺に近付き、そっと絵馬を握る手を取って俺の耳元でそっと囁いた。


「…ええよ。
 俺も……Aが好きや。」


心臓が跳ね上がり、瞬間に全身が硬直した。鏡はないがわかる。俺の顔はきっと茹蛸のようだろう。

盧笙が、俺と同じ気持ちでいる。

鼻の奥がツンと痛む。今すぐ抱き締めたい気持ちを抑え盧笙を見上げると、頬を僅かに朱に染め、いつものキリリとした目元を少し柔らかくして俺を見下げる。見た事のない表情にドキリとした。

「……ただ、条件がある。」


盧笙の一言に、どんどんスピードを上げていた鼓動が一瞬ピタリと静止する。


「結婚を前提にって話やけど───

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設定タグ:ヒプノシスマイク , 躑躅森盧笙 , 男主   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます!励みになります(><)!ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)! (5月5日 1時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです!繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…!甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜! (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - メガネクンさん» コメントありがとうございます!ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネクン - この作品めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年3月20日 5時

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