22話 ページ23
side.盧笙
俺の膝の上に置かれたAの手がいつ離れるのかと記事を読むフリをして様子を伺っていると、Aが口を開く。
「あんな…話、あんねんけど。」
「なんや？」とAの方を向くと、かなりの至近距離でがっつりと目が合ってしまい、その瞳がえらく熱っぽかったので、堪らず視線を逸らしてしまった。
こ、この雰囲気は………………
流石に意識をしすぎている自分がいた堪れなくなり、沈黙の中軽く咳払いをする。俺の予想では、Aは俺に惚れている。そして今の、この流れは、ほぼ間違いなく”アレ”をしてくる流れだ。Aの視線が痛い。意味もなくスマホの画面を親指で上下になぞる。
暫くして、Aが乗せている手の平でグニグニと俺の膝を揉みながら揺すってきた。
「何しとん、それ」
「……やっぱ、また今度にするわ」
「はぁ！？」
Aがかけてくるであろう台詞のパターンをひとつ、ふたつと想像し、それに返す言葉まで考えていたものだから、思わずソファから立ち上がり声を荒げてしまう。
「こんだけ溜めといてまた今度て…なんやねん！気になるやろ！」
血相を変えて吠えた。Aは目の玉をかっぴらいて驚き、こちらを見上げながら「ごめん…」と呟いた。
「そ、そうよな、気になるよなぁ………」
はよ、早よ言うてこい…！根性なしかおどれは！
「じゃあ明日言うから！明日まで待って！」
コイツ……ッ！全部バレとんのやぞ！？耳まで真っ赤っかにしよってからに！この後どんな気持ちで寝ろ言うねん！
もう俺から言ってしまおうかと、スマホを握る右手に力を込めたところで、Aがもう一度口を開く。
「ごめん。完全に俺の勝手やわ。なんぼでも殴って。けどガチで明日、いい日にしたいから……て、わけわからんよな…。ちょっと頭冷やすわ。」
Aは俺から視線を外し、俯きながらベランダの方へ歩いて行く。扉が閉まる音を聞いてからソファに勢いよく腰を下ろし、少し乱れた前髪をかき上げるように頭を抱え、ため息を吐いた。スマホを取り出しタクシー配車アプリを開いたところで、Aが戻ってきた。
「取っとったホテル、チェックインせなあかん。そろそろ行くわ。」
Aがごめんな…と一言。
無言で玄関を出ようとする俺を不安そうに見るAの手を取り、少し強めに握った。
Aが俺の名前を呟こうとしたところで、
するりと手を解き、ドアノブに手を掛ける。
「また明日な」
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柊(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます！励みになります(＞＜)！ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)！ (5月5日 1時) (
レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです！繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…！甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜！ (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
粽(プロフ) - メガネｸﾝさん» コメントありがとうございます！ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネｸﾝ - この作品めっちゃ好きです！更新頑張ってください！ (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2023年3月20日 5時
