21話 ページ22
side.盧笙
成り行きでAの家に来てしまった。
俺と同じ1LDKの間取りで、リビングの広さはざっと見た感じ8畳ほど。
ただ、俺の家の6畳リビングには、テレビと机とソファだけなのに対し、Aの方にはそれらに加えて大きめのモニターが二つ並んだデスクトップPCとラック、座り心地が良さそうな背の高いデスクチェア、そのすぐ隣に背の高い本棚があり、俺の部屋と同じか、それよりも少し窮屈にみえる。
A、普段はあそこに座って仕事しとるんか…。
PCの方に視線を固定し、ゆっくり床に腰を落とそうとした時、それに気付いたAが「床痛いやろうから気にせんとソファ座って！」と言ってきたので、「おぉ…おおきに。」とソファにずしりと腰掛けた。続けてすぐ隣にAが腰掛けてきたので、俺の体も反動で少し揺れる。
ケツポケットからスマホを取り出して、『キョウト 観光 おすすめ』と調べて、適当なタイトルをタップする。
「やっぱり無難なんは神社とか寺とかか？」
「確かに無難やね。生徒はどこどこ行きたいとか、見てみたいとか、言うてへんの？」
「そういえば生徒が八坂神社行きたい言うとったな。」
「ああ！八坂さんなぁ！」
記事の目次に八坂神社があったのを確認して、タップし説明を読み上げていたが、途中で少し言葉が詰まり、声の音量がフェードアウトしていく。
「厄除けや縁結びのご利益があり、カップルにも非常に人気……………」
カップル…縁結び……。
いやいや、俺らのデートコース練っとる訳やないねん。
再度途切れた箇所から声を出して読み進めながら、横目でチラリとAの方を見ると、口元を手の甲で抑えながらうっすら眉間に皺を寄せていた。
もしかしてAも今、意識したんやろか。
Aの胸の内を考えて、自分の鼓動が速くなっていくのがわかった。
あぁ、心臓の音がうっさい…と一旦読み上げるのをやめ、目を閉じておさまるのを待とうとしていると、「盧笙…」とAが呟いた。
「明日八坂さん行こ」
いつもより若干低めの声で言うAの、涼しい顔とは裏腹に、耳が真っ赤に染まっていた。思わずくすりと笑みが溢れてしまう。ここは気付いていないフリをしてやろう。
「わかった。ほな、一つは八坂神社。あとは───」
視線を画面に集中させて、記事の続きを読もうと2度ほど下から上にスワイプさせたところで、
Aの手が俺の膝をポンと叩き、そのまま動かなくなった。
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柊(プロフ) - 香田さん» 感想ありがとうございます！励みになります(＞＜)！ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(^^)！ (5月5日 1時) (
レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
香田 - とっても好きです！繊細な心理描写が素敵で、読みながらこっちまでドキドキしてしまいました…！甘酸っぱい恋模様がこれからどうなるのか気になります(//∇//)陰ながら応援しております〜！ (2023年4月27日 20時) (レス) @page12 id: f967239fc7 (このIDを非表示/違反報告)
粽(プロフ) - メガネｸﾝさん» コメントありがとうございます！ノロノロ更新ですが頑張りますのでよろしくお願います(^^)! (2023年3月29日 12時) (レス) id: 81a5ac77e5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネｸﾝ - この作品めっちゃ好きです！更新頑張ってください！ (2023年3月27日 16時) (レス) @page6 id: 58566d1681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2023年3月20日 5時
